同行援護とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 同行援護

同行援護は、視覚障害者が外出する際に介助者が付き添い支援を行うサービスのことです。
視覚障害のある方が、安心して外出するために行います。

この記事では、同行援護の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。同行援護を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

同行援護とは


同行援護の法律定義



同行援護は障害者総合支援法に基づくもので、
「視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の援助を適切かつ効果的に行う
①移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む)
②移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護
③排せつ・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助」
と規定されています。

同行援護はヘルパーが利用者に付き添って外出を支援するサービス

同行援護のサービスにはどのようなものがある?



同行援護では、外出時移動する中や目的地にて
・移動の介護
・排せつ、食事の介護
・代筆・代読
・衣服の着脱など必要な援助
・外出中の危険回避
などを行います。

同行援護が受けられる外出とは?



同行援護が受けられる外出は、
・日常生活での買い物
・通院
・公的機関への手続き、相談
・銀行
・地域の行事などの社会的参加
・習い事などの余暇活動
・散歩
・スポーツ
などです。
同行援護を利用できるのは、原則として1日で用事を終えることができるものです。

同行援護が受けられない外出とは?



厚生労働省では、同行援護を利用することができない外出について
以下のように規定しています。

①営業活動等の経済活動に係る外出
・会社への通勤など
※一部地域では同行援護と同等のサービスを受けられる場合があります。
市町村に相談してみましょう。

②通年かつ長期にわたる外出
・学校への通学
※短期間の利用など、条件によっては同行援護を利用できる場合があります
ので市町村に相談してみましょう。
・透析など長期の通院
・長期間にわたる訓練施設への通所など

③社会通念上適当でない外出
・政治や宗教活動に関するもの
・ギャンブルなど

同行援護の利用対象者の条件


同行援護サービスを利用できるのは、視覚障害により移動に困難がある障害者などです。

同行援護を利用できる対象者の条件は、

・同行援護アセスメント調査票のうち、視力障害、視野障害、夜盲のいずれかが1点以上
・同時に移動障害の点数が1点以上
である必要があります。

身体介護を行わない場合は、障害者認定区分がなくても同行援護を受けることができますが、身体介護を受ける場合には、
・障害支援区分が2以上
・障害支援区分の認定調査項目で、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」について1つ以上認定されていること
といった条件を満たしていなければなりません。

同行援護を利用できる時間は決まっている?


同行援護を利用できる時間は、月40時間以内と規定されています。

こんな方におすすめ!同行援護のメリット


同行援護は、視覚障害を持つ方が安全に外出ができるようにするサービスで、利用者にとって様々なメリットがあります。

安心して外出することができる


外出の際、専門的なヘルパーが介助してくれるため危険を回避することができます。
また、階段やエスカレーターでの移動、電車バスの昇降介護も受けられるため、視覚障害の方が安心して社会活動を行えます。

外出中の様々な介助を受けることができる


移動中の介護、排せつ、食事の介護も受けることができるため、快適な活動を行えます。

社会活動を行うことができる


同行援護には、代筆代読も行ってくれるため、行政での手続きなどの社会活動を安心して行うことができます。

同行援護で気になること



実際に同行援護を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


同行援護を利用した場合の料金は、身体介護が必要な場合と、身体介護が必要でない場合によって異なります。それぞれ、時間によって料金が設定されています。
さらにその他の加算がある場合があります。

ヘルパーの交通費や、食事代などの実費分は利用者負担です。

障害者福祉サービスでの行動援護は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

同行援護事業を行っているのはどんなところ?


同行援護事業を行えるのは、株式会社、合同会社、NPOなどで法人格を持つ事業所です。

どんなスタッフがいる?


同行援護を行う事業所には、
管理者、サービス提供責任者、同行援護従業者がいます。それぞれ、事業規模によって配置人数が規定されています。

サービス提供責任者は、以下のいずれかの資格要件がある者です。
・介護福祉士
・居宅介護従事者養成研修1級(ホームヘルパー1級)
・居宅介護従事者養成研修2級(ホームヘルパー2級)かつ3年以上の実務経験
・同行援護従業者養成研修過程修了者

同行援護従業者は、視覚障害者ガイドヘルパーとも呼ばれます。

同行援護事業者には、以下のいずれかの資格要件がある者です。
・都道府県や地方自治体が指定する研修を受け、修了証書を授与している者
・居宅介護の従業者要件を満たすものであって、視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業に1年以上従事した経験を有する者
・厚生労働大臣が定める従業者に定める国立障害者学科の教科を履修した者またはこれに準ずるもの

同行援護事業所の職員は、交通機関を利用しての移動演習など実務的な研修内容などを受け、視覚障害者の外出時のサポートなどを専門的に学んでいるため、安心して利用することができます。

同行援護は何歳まで利用できる?


同行援護は、何歳までしか利用できないといったような制限はありません。
一般的に65歳以上の介護サービスは、基本的に介護保険制度でのサービスを受けることとなっていますが、介護保険サービス下では外出に付き添うというサービスがありません。
そのため、65歳以上であっても対象者は同行援護サービスを引き続き利用することができます。

同行援護はどうやって利用したらいい?



同行援護を利用したい場合の手続きについてご紹介します。

同行援護を利用するためには以下の手続きを行う必要があります。手続き完了には最大2か月程度かかる場合がありますので、早め早めに対応していった方がよいでしょう。

①相談、申請をする
最寄りの市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に「外出するときにヘルパーに付き添ってほしい」と相談し、サービスを受ける申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や視覚障害の状況、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。
同行援護は、視覚障害によって移動が困難な障害者、障害児が利用できるとされているため、「同行援護アセスメント調査票」の条件を満たしていれば利用可能です。

同行援護の事業所の探し方



同行援護事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、同行援護を受けたいことを相談するとよいでしょう。
事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

同行援護事業所を選ぶポイント



同行援護事業所を選ぶ際は、利用者の自宅から近い場所の事業所を探すことがおすすめです。近い方が、困ったときにすぐかけつけてくれたり地域の障害福祉サービスについての情報について詳しい場合があるからです。

また、スタッフが何人いる事業所なのか、担当ヘルパーが不在の時に対応できるスタッフがいるのかも確認しておくと安心です。

同行援護は、視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者が安心して外出することをサポートしてくれるサービスです。専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる同行援護サービスを選んでいただければ幸いです。