行動援護とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 行動援護

行動援護は、知的障害や精神障害などによる行動障害があり、ひとりでの移動が難しい方が外出や自宅で受けることができるサービスです。

この記事では、行動援護の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。行動援護を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

行動援護とは



行動援護の法律定義


行動援護は障害者総合支援法に基づくもので、
「障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排泄及び食事等の介護、その他行動する際に必要な援助を行う」と規定されています。

行動援護はヘルパーが利用者に付き添って行動に障害のある方の見守りなどを行うサービス

行動援護のサービスにはどのようなものがある?



行動援護では、行動面に特別な注意が必要な障害者(自閉症など)が自宅や外出先で危険を回避するために介護などを行います。

行動援護の主な内容としては、
①問題となる行動に対する対応
利用者が何かの理由で突然動かなくなったり、物事へのこだわりが強すぎるなどの日常生活で問題となる行動に対して、適切な介護を行います。

②不安による問題行動の予防
利用者が、初めての場所で不安を感じたり、不安から不適切な問題となる行動を起こさないように、予防的な介護を行います。

③身体的介護
排せつ、食事の介護、・衣服の着脱など必要な援助などを行います。

行動援護の利用対象者の条件



行動援護サービスを利用できるのは、知的障害や精神障害などによる行動障害によって日常生活で著しい困難がある方です。

行動援護を利用できる対象者の条件


行動援護を利用できるのは、以下の条件を満たしている障害者です。
・障害者支援区分3以上
・障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上

障害児は、これに対する支援の度合いであれば対象となります。

実際に行動援護を利用しているのは、

・自閉症、てんかんなどがある知的障害者
・統合失調症などにより危険回避できない重度の精神障害者
・自傷行為、徘徊などの危険がある方

などです。

こんな方におすすめ!行動援護のメリット



行動援護は、知的障害や精神障害などによる行動障害がある方が受けられるサービスで、利用者や家族にとって様々なメリットがあります。

・日常生活で問題となる行動に対応してくれる
知的障害や精神障害などがある方は、自分の行動を制御できない場合があります。
突然動かなくなったり、強いこだわりを示すなどがあった際、その行動に適切な対応を受けることができます。

・問題となる行動を予防することができる
知的障害や精神障害などがある方は不安を感じやすく、初めての場所で不安定になったり、不適切な行動をとってしまうことがあります。
そういった行動をおこさないように、未然に本人が不安にならないよう予防的対応をしてくれます

・身体的介護も受けられる
知的障害や精神障害などがある方は、便意が感じられなかったり、食事などの日常生活が1人では行えない場合があります。
この場合、利用者が介助を拒んだり問題となる行動をとってしまうことも多いため、ヘルパーは様々な工夫をとり介護を行います。

知的障害や精神障害などのある方は、それぞれ障害の程度に違いがあります。
自分の感情や行動がコントロールできない場合、突然大声を出したり自傷行為や他者に危害を与えてしまう危険があるのです。
行動援護では、このような行動が起こらないよう、また起きてしまった場合の適切な対応を行ってくれます。

行動援護で気になること



実際に行動援護サービスを利用する上で、気になる点を解説します。

・必要な費用は?
行動援護を利用した場合の料金は、どのくらいの時間サービスを利用したかによって異なります。
また、特定事業所加算や緊急時対応加算などの加算がかかることもあります。

障害者福祉サービスでの行動援護は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

・行動援護事業を行っているのはどんなところ?

行動援護事業を行えるのは、株式会社、合同会社、NPOなどで法人格を持つ事業所です。

・どんなスタッフがいる?
行動援護を行う事業所には、
管理者、サービス提供責任者、従業者がいます。それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

サービス提供責任者、従業者に必要な資格は、次のうちのいずれかです
・行動援護従業者養成研修過程修了者、または強度行動障害支援者養成研修の修了者
・介護福祉士、ヘルパー1級などの有資格者で、知的障害者などを直接処遇する介護職員として3年以上従事した実務経験を有する者


・行動援護は何歳まで受けることができる?
行動援護は、何歳までしか利用できないといったような制限はありません。
一般的に65歳以上の介護サービスは、基本的に介護保険制度でのサービスを受けることとなっていますが、介護保険サービス下では外出に付き添うというサービスがありません。
そのため、65歳以上であっても対象者は行動援護サービスを引き続き利用することができます。

・行動援護はどうやって利用したらいい?

行動援護を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
行動援護を利用するためには以下の手続きを行う必要があります。手続き完了には最大2か月程度かかる場合がありますので、早め早めに対応していった方がよいでしょう。

①相談、申請をする
最寄りの市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に相談し、サービスを受ける申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や障害の状況、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。

行動援護は、障害程度区分の認定調査項目のうち、行動関連項目等の合計が8点以上の区分3以上の知的障害または、精神障害により行動上著しい困難がある方が利用できます。

行動援護の事業所の探し方



行動援護事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、行動援護を受けたいことを相談するとよいでしょう。
事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

行動援護事業所を選ぶポイント



行動援護事業所を選ぶ際は、利用者の自宅から近い場所の事業所を探すことがおすすめです。近い方が、困ったときにすぐかけつけてくれたり地域の障害福祉サービスについての情報について詳しい場合があるからです。

また、スタッフが何人いる事業所なのか、担当ヘルパーが不在の時に対応できるスタッフがいるのかも確認しておくと安心です。

行動援護は、知的障害、精神障害、発達障害などの特性を理解し、それに合わせて対応するための高い知識と経験が必要です。
専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。


今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる行動援護サービスを選んでいただければ幸いです。