療養介護とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 療養介護

療養介護とは、医療機関で介護と医療的なケアを受けることができるサービスのことです。

この記事では、療養介護の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。療養介護を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

療養介護とは



療養介護の法律定義


療養介護は障害者総合支援法に基づくもので、
「病院で、機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、日常生活上の世話その他必要な医療を要する障害者で、常時介護を必要とする者に、主として昼間に、病院にて行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話を行う。また、療養介護のうち医療に係るものを療養介護医療として提供する」と定義されています。

療養介護は、入院中の障害者に、機能訓練や療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護や日常生活の世話を行います。

療養介護は、入院中に介護と医療的なケアを受けることができるサービス

療養介護のサービスにはどのようなものがある?


病院などの医療機関に長期間入院している障害者に対して、医療と常時介護が必要な場合に以下のサービスを行います。

1.機能訓練、レクレーション、療養上の管理、看護
2.食事、入浴、着替え、排泄など、医学的管理の下に行われる介護
3.日常生活上の相談や支援
以上のサービスは主に昼間に提供されます。

療養介護は、日常生活の介護と、医療行為の提供が受けられるサービスです。
療養介護の中で、医療行為にかかわるものを、療養介護医療といい医療保険が適用されます。

療養介護の利用対象者の条件


療養介護サービスを利用できるのは、
病院等で長期入院による医療ケアと、常時の介護を必要とする18歳以上の障害者で、以下の項目のいずれかに該当する方です。

・ALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより、気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っており、障害程度区分6に該当
・筋ジストロフィー患者または重症心身障害者で、障害程度区分が区分5以上に該当

重症心身障害者とは、肢体不自由1・2級の身体障害者手帳及び、A判定の療育手帳がある方です。

実際に療養介護サービスを利用しているのは、
・ALSなどのため気管切開を伴う人工呼吸を受けている方
・筋ジストロフィー、重症心身障害者で長期入院や常時介護が必要な方
です。

こんな方におすすめ!療養介護のメリット



長期入院中、医療的ケアとともに日常的な介護を受けることができる


難病患者や重症心身障害者が長期入院したときに、医療的ケア(看護、機能訓練)と共に、食事や排せつなどの日常的な介護を受けられます。

長期入院中、利用者の生活の質が向上できる


長期入院中に、利用者に適した医療的ケアと介護を受けることができるため、生活の質の向上につながります。

療養介護で気になること


実際に療養介護を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


療養介護では、利用定員や障害の程度によって変わる療養介護サービス費用がかかります。
その他、地域移行加算、福祉専門職員配置等加算などの加算がかかる場合があります。

障害者福祉サービスでの療養介護は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

また、療養介護サービス費用以外の食費や日用品費などは、利用者の実費負担となります。

事業を行っているのはどんなところ?


療養介護を行う事業所には、医師、看護師、准看護師、生活支援員、サービス管理責任者、管理者がいます。それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

管理者は医師であることと、事業所ごとに配置されることなどの規定があります。

設備の基準は?


療養介護を行う事業所の設備基準は、以下のものです。
・医療法に規定する病院として必要とされる設備
・多目的室その他運営上必要な整備

療養介護ではどのような生活を送るの?


療養介護では、食事や排泄、更衣などの日常生活介護の他、さまざまな訓練も受けることができます。
利用者の状況に合わせて、主治医が必要と判断した場合に理学療法、作業療法、言語療法、心理発達検査など施設によって受けることができます。

面会や外出外泊はできる?


外出や外泊は、家族との交流や社会参加の機会を得ることができるため、施設から許可が出れば行うことができます。

面会も面会時間内であれば可能ですので、事業所に確認しましょう。

療養介護はどうやって利用したらいい?


療養介護を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
療養介護を利用するためには以下の手続きを行う必要があります。

①障害福祉サービス受給者証の申請
利用者の住民票がある市町村の障害サービス窓口に、受給者証を受ける申請を行います。
その後、認定調査、医師意見書による二次判定を行い、受給者証が交付されます。
受給者証には、障害種別、利用するサービスの種類、サービス利用の自己負担額が記載されています。

②成年後見人の申し立て(必要な場合)
利用者本人の判断能力が難しい場合は、成年後見人の申し立てが必要となる場合があります。

③病院との契約
障害福祉サービス受給者証を受けると、病院と契約を結ぶことができ利用が開始となります。

障害者支援区分には、3か月から3年の期間内で有効期間が定められています。継続して支給を受けたい場合は、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を提出し、支給決定を再度受ける必要があります。
また、療養介護利用中事業所から1年ごとのモニタリングを受け、利用計画の見直しが行われます。支給決定の更新も、それに基づき行われることとなります。

療養介護事業所の探し方


療養介護事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、療養介護を受けたいことを相談するとよいでしょう。

事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

療養介護を選ぶポイント


療養介護事業所を選ぶ際は、その事業所の設備や特色、理念などを確認するとよいでしょう。
重度障害の方が快適な長期入院となる場所ですので、心配な点は事前に市町村窓口や事業所に確認することをおすすめします。

また、実際の雰囲気を知っておくのもよい方法ですので、見学が可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる療養介護を選んでいただければ幸いです。