短期入所とは、自宅で介護サービスを受けている方が施設で短期間生活する際に受けることができるサービスです。ショートステイとも呼ばれます。

この記事では、短期入所の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。短期入所を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

短期入所とは

短期入所の法律定義

短期入所は障害者総合支援法に基づくもので、「居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設その他の以下に掲げる弁護を適切に行うことができる施設等への短期間の入所を必要とする障害者につき、入浴、排せつ、及び食事その他の必要な保護を行う」と定義されています。

短期入所は、自宅で障害者の介護を行っている家族などが、病気や留守にするなどの理由で介護ができない場合に、施設で短期入所して受けることができるサービスです。

短期入所は、短期間施設に入所して受けるサービス

短期入所は、「福祉型」と「医療型」の2種類

短期入所は、障害者支援施設などで実施される「福祉型」、病院、診療所、介護老人保健施設で実施される「医療型」の2種類があります。

短期入所のサービスにはどのようなものがある？

短期入所のサービスでは、排泄、入浴、食事などの日常生活の介護・支援を受けることができます。

短期入所の利用対象者の条件

短期入所は、福祉型、医療型によってそれぞれ対象者がかわっています。

①福祉型
障害者支援施設などで実施されます。
利用できるのは、以下のいずれかの方です。

・障害支援区分1以上の障害者
・障害児に必要とされる支援の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分において、区分1以上に該当する障害児

②医療型
病院、診療所、介護老人保健施設で実施されます。
利用できるのは、遷延性意識障害児（者）や重症心身障害児（者）などです。

こんな方におすすめ！短期入所のメリット

介護者が不在となった場合でもすぐに対応できる

普段自宅で介護している家族が、病気や急用で留守にしなければならなくなったときに、短期入所を利用することで、利用者が介護や支援を受けることができます。

介護者の負担を軽減できる

短期入所を利用することで、介護者が介護疲れを軽減し、リフレッシュする機会を得ることができます。

家族と本人の関係が良好になる

介護は利用者本人や家族に、知らず知らずのうちに身体的精神的負担がかかっている場合があります。
短期入所を利用することで、利用者と家族がお互いに自分の時間を持てることでリフレッシュでき、互いの関係が良好になることが期待できます。

社会的交流をもてる

自宅ですごす障害者が、短期入所を利用することで職員や他の利用者との交流ができ、社会性の向上にもつなぐことができます。

短期入所で気になること

実際に短期入所を利用する上で、気になる点を解説します。

何日間利用できる？

短期入所を利用できる月ごとの日数は、各市町村が判断し決定されます。

必要な費用は？

短期入所では、福祉型、医療型などによってサービス費用に違いがあります。
その他、短期利用加算や重度障害者支援加算などの加算があります。

障害者福祉サービスでの短期入所は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料～一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

また、短期入所以外で日用品費などは、利用者の実費負担となります。

事業を行っているのはどんなところ？

短期入所事業を行うには、医療法人、社会福祉法人、株式会社、合同会社、NPO法人など法人である必要があります。

短期入所事業所は3種類

短期入所の事業所には3種類があります。

①併設事業所
障害者支援施設、児童福祉施設などに併設された事業所
②空床利用型事業所
利用者に使われていない施設の居室を活用する事業所
③単独型事業所
指定障害者支援施設以外で実施する事業所

どんなスタッフがいる？

短期入所を行う事業所には、管理者、従業員がいます。

管理者

施設の管理業務を行います。サービス管理責任者などと兼務することも多くあります。

従業員

入居者の食事、排泄、入浴などの介護や連絡調整などを行います。

それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

短期入所の居室に要件はある？

短期入所の居室は、定員4人以下、一人あたり収納設備を除いた８㎡の広さと規定されており、食堂、浴室、トイレなどの設備も完備されています。

短期入所ではどのような過ごし方をする？

短期入所では、一定期間滞在する場合と、1泊2日などで利用する場合があります。

一定期間滞在する場合は、日中、活動系のサービスなどを利用することも多く、
1泊2日などの場合は、基本的な生活を送ることが多いです。

短期入所はどうやって利用したらいい？

短期入所を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
短期入所を利用するためには以下の手続きを行う必要があります。

①相談、申請をする
利用者の住民票がある市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に相談し、サービスを利用するための障害者福祉サービス受給者証申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や障害、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。

③認定結果通知
認定結果が自宅に郵送されます。

④短期入所利用開始
短期入所が必要と認定された場合、相談支援事業所と共にサービス等利用計画書を作成し、事業所と契約を結んだのち、支援サービスを開始できるようになります。

短期入所はあらかじめ手続きをしておくと安心

短期入所は、家族の事情によって突然利用が必要になることが多いサービスです。
そのため、あらかじめ短期入所にかかる手続きを行っておくと、急に必要になった場合すぐに利用することができます。
前もって手続きを行っておくと安心です。

短期入所の探し方

短期入所事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、短期入所サービスを受けたいことを相談するとよいでしょう。

事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

短期入所を選ぶポイント

短期入所事業所を選ぶ際は、その事業所の設備や特色、理念などを確認するとよいでしょう。

日頃自宅で過ごしている障害者が、慣れない環境で入所する場所ですので、心配な点は事前に市町村窓口や事業所に確認することをおすすめします。

短期入所は、施設によって施設環境や雰囲気などが違います。

実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学が可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

実際に見学すると、施設の雰囲気や、スタッフの対応の仕方、利用者の様子を知ることができ、安心できます。
また、お試しで一泊利用できる場合もあります。
気になることは事前に相談しておきましょう。

判断に迷ったときは、市町村の障害福祉の窓口や、障害福祉の専門家に相談してみることをおすすめします。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる短期入所を選んでいただければ幸いです。