自立訓練(生活訓練)とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)とは、知的障害や精神障害の方が地域の中で生活するために、通所や居宅訪問で必要な訓練を受けるサービスのことです。

この記事では、自立訓練(生活訓練)の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。自立訓練(生活訓練)を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

自立訓練(生活訓練)とは



自立訓練(生活訓練)の法律定義


自立訓練(生活訓練)は障害者総合支援法に基づくもので、「知的障害又は精神障害者が、障害者支援施設若しくはサービス事業所に通い、各事業所において、又は当該障害者の居宅を訪問し、入浴、排泄及び食事等に関する自立した生活を営むための必要な訓練、生活等に関する相談及び助言等を行う」と定義されています。

自立訓練(生活訓練)は、障害福祉の中で、自立訓練給付の中の「訓練等給付」にあたり、障害者の生活能力の維持・向上のために訓練を行う

自立訓練(生活訓練)のサービスにはどのようなものがある?


自立訓練(生活訓練)では、障害のある方が自立した生活を送ることができるよう、生活能力の維持・向上の訓練を行うために通所や居宅訪問でサービスを受けることができます。
事業所によって行われているサービス内容はさまざまです。

自立訓練(生活訓練)の対象者の条件


自立訓練(生活訓練)の対象者は
65歳未満で、
・入所施設・病院を退所または退院した後、地域生活へ移行する上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な方
・特別支援学校を卒業した方、継続した通院により症状が安定している方等で、地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な方
です。

自立訓練(生活訓練)事業所は3種類


自立訓練(生活訓練)事業所には、大きく分けて以下の3種類があります。

①通所型
自宅から事業所へ通所して、自立訓練を受けることができます。
②訪問型
スタッフが利用者の居宅で自立訓練を行います。
③宿泊型
日中就労している方、または活動系の障害福祉サービスを利用している方が、宿泊の中で生活能力向上の訓練を受けることができます。

自立訓練(生活訓練)の具体的なサービス内容


自立訓練(生活訓練)では、生活、体調管理、コミュニケーション、就労、レクレーション系のサービス、相談や助言などのサービスを受けることができます。

生活系サービスでは、
・食事、洗濯、掃除などの日常生活
・金銭管理
・公共交通機関の利用方法
・医療機関への通院方法
・地域とのかかわり方
など、生活する上で必要となる能力を向上させる訓練を行います。

体調管理系サービスでは、
・運動
・生活リズムの整え方
・感情のコントロール方法
・ストレス対処方法
など利用者の体調管理、体力づくり向上が目的の訓練です。

コミュニケーション系サービスでは、
・社会生活技能訓練(ソーシャルスキルトレーニング)
・社会的ルールとマナー
などコミュニケーション能力や、他者との関わり方のスキル向上が目的の訓練です。

就労系サービスでは、
・パソコンスキル
・ビジネスマナー
・面接練習
など就労に向けての準備を受けることができるサービスです。

レクレーション系サービスでは、
・音楽
・外出行事
・調理
・レクレーション
など利用者本人の得意分野を伸ばしたり、余暇活動の過ごし方を学んだりすることができるサービスです。

利用者の生活等に関する相談や助言
食事、入浴、排泄、健康管理など、日常生活での相談を受け付け、アドバイスを受けることができます。

その他必要な支援
就労、仕事復帰に向けた支援も受けることができます。

こんな方におすすめ!自立訓練(生活訓練)のメリット


自立訓練(生活訓練)には、様々なメリットがあります。

退所・退院後に継続的な訓練を受けることができる


病院や施設を退所退院後、途切れることなく継続した生活能力向上の訓練を受けることができます。

日常生活能力向上のための訓練が受けられる


自立訓練(生活訓練)では、食事のあり方、体調管理、金銭管理、コミュニケーションの方法、就労準備、余暇活動の過ごし方など日常生活能力が向上できる訓練を受けることができます。
利用者一人ひとりにあったプログラムが可能です。

送迎サービスも受けられる


自宅から事業所まで往復で送迎サービスを受けられる場合があります。

定期的に評価を受けることができ、将来について相談することができる


自立訓練(生活訓練)では、定期的に利用者の状態のモニタリングを行い、適した訓練を検討します。そのため、将来に向けて安心して訓練を受けることができます。

自立訓練(生活訓練)で気になること


実際に自立訓練(生活訓練)を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


自立訓練(生活訓練)では、障害福祉サービス費の自立訓練(生活訓練)利用料がかかります。

自立訓練(生活訓練)サービス費は、通所・訪問・宿泊によって違いがあり、その他、短期滞在加算などの加算があります。

障害者福祉サービスでの費用は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

事業を行っているのはどんなところ?


自立訓練(生活訓練)事業を行うには、医療法人、社会福祉法人、株式会社、合同会社、NPO法人など法人である必要があります。

どんなスタッフがいる?


自立訓練(生活訓練)を行う事業所には、施設長、サービス管理責任者、生活支援員などがいます。
訪問によるサービスの場合は、訪問支援員がいます。

それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

自立訓練(生活訓練)はどうやって利用したらいい?


自立訓練(生活訓練)を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
自立訓練(生活訓練)を利用する以下の手続きを行う必要があります。
自立訓練(生活訓練)は、障害福祉サービスの中で「訓練等給付」となっています。

①相談、申請をする
最寄りの市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に相談し、サービスを受ける申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や障害、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。

③認定結果通知
認定結果が自宅に郵送されます。

④自立訓練(生活訓練)利用開始
自立訓練(生活訓練)が必要と認定された場合、相談支援事業所と共にサービス等利用計画書を作成し、事業所と契約を結んだのち、支援サービスを開始できるようになります。

自立訓練(生活訓練)は利用期間が決められているサービス


自立訓練(生活訓練)は、原則24か月と利用期間が決められています。
期間内に、自立した日常生活や社会生活に向けて訓練を行います。

自立訓練(生活訓練)事業所の探し方


自立訓練(生活訓練)事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、自立生活援助を受けたいことを相談するとよいでしょう。

事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

自立訓練(生活訓練)事業所を選ぶポイント


自立訓練(生活訓練)事業所を選ぶ際は、利用者の自宅から近い場所の事業所を探すことがおすすめです。
近い方が、困ったときにすぐに対応してくれたり、地域の障害福祉サービスについての情報に詳しい場合があるからです。

また、その事業所の設備や特色、理念などを確認するとよいでしょう。

事業所によって、訓練の設備内容、専門職の配置などが違います。
専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

どの事業所にするか判断に迷ったときは、市町村の障害福祉の窓口や、障害福祉の専門家に相談してみることをおすすめします。

今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる自立訓練(生活訓練)事業所を選んでいただければ幸いです。