宿泊型自立訓練とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 宿泊型自立訓練

宿泊型自立訓練とは、知的障害または精神障害のある方が、夜間宿泊し日常生活能力の維持・向上のための訓練を受け、地域で生活することができるようにするサービスのことです。

この記事では、宿泊型自立訓練の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。宿泊型自立訓練を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

宿泊型自立訓練とは


宿泊型自立訓練の法律定義


宿泊型自立訓練は障害者総合支援法に基づくもので、「知的障害者又は精神障害者で、居室その他の設備を利用させるとともに、家事等の日常生活能力を向上させるための支援、生活等に関する相談援助及び助言を行う」と定義されています。

宿泊型自立訓練は、障害福祉の中で、自立訓練給付の中の「訓練等給付」にあたります。
宿泊型自立訓練は、1人で生活することに不安があり、将来に向けて自立できるよう準備を行いたい障害のある方が宿泊し、生活能力の維持向上のための支援や訓練を受けることができるサービスです。

宿泊型自立訓練は夜間の生活支援や自立への訓練を行うサービス

宿泊型自立訓練のサービスにはどのようなものがある?


宿泊型自立訓練では、
・食事(調理)
・掃除、洗濯
・服薬管理
・金銭管理
・体調管理
・行政機関などの利用手続きの同行・支援
などのサービスを受けることができます。

宿泊型自立訓練の利用対象者の条件


宿泊型自立訓練を利用できるのは、
以下のすべてに当てはまる、原則18歳以上、64歳以下で知的障害・精神障害の方です。
・自立訓練(生活訓練)の対象者
・日中一般就労や障害福祉サービスを利用している方
・地域に向けて一定期間居住の場を提供して帰宅後での生活能力維持等の維持・向上のための訓練、その他支援が必要な方

宿泊型自立訓練には、利用者が自立に向けての意欲をもっていることが前提となります。

こんな方におすすめ!宿泊型自立訓練メリット


宿泊型自立訓練には、様々なメリットがあります。

地域での生活を実現するための訓練ができる


居住の場を得ながら、食事や家事など日常生活に必要なさまざまな訓練を行い、地域生活を実現するための訓練を受けることができます。

社会復帰にむけて前向きに取り組むことができる


利用者自身の興味のあるもの、取り組みたいものを考慮しながら社会復帰にむけたプログラムを受けることができます

夜間もスタッフがいるので安心


施設内に夜間スタッフがいるため、夜間でも安心して生活することができます。

いつでも相談にのってくれる


スタッフが利用者や家族の相談にいつでも対応してくれます。

各種行事の中で他者とのふれあいの機会がもてる


施設によって、季節に合わせたさまざまな行事があります。
行事を楽しみながら、他の利用者、スタッフ、地域の方とのふれあいの機会を持つことができ、コミュニケーション方法について学ぶことができます

送迎サービスがある


施設から自宅までが遠い場合、送迎サービスを行ってくれる場合があります。
交通手段がない方でも、安心して訓練を受けることができます。

宿泊型自立訓練は、こんな場面で行われている!


宿泊型自立訓練事業所では、色々な場所で就労している知的障害、精神障害の方がそれぞれ自立を目指して生活しています。
実際には、利用者20名ほどの中で行われています。
それぞれの利用者が、基本的に2年間の利用という期限の中で、自分の目標を立てて生活し、将来的に一人暮らしやグループホームといいった地域での生活へ移行できるよう取り組んでいます。

宿泊型自立訓練で気になること


実際に宿泊型自立訓練を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


宿泊型自立訓練では、1日ごとに、障害福祉サービス費の生活訓練サービス費がかかります。
宿泊型自立訓練での生活訓練サービス費は、施設の利用期間によって料金が異なります。
施設の利用期間 2年まで、2年超、3年まで、3年超といったように、サービス費が設定されています。

その他、入院時や退院時の支援加算、地域移行加算、食事提供体制加算などの加算があります。

障害者福祉サービスでの費用は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

宿泊型自立訓練ではその他実費として、家賃、共益費、食事、日用品費、電気空調費などがかかります。

利用期間はある?


宿泊型自立訓練の利用期間は、原則24か月、長期入院者の場合は36か月とされています。
1年ごとに利用継続の必要性かあるかを確認します。支給決定の更新も可能です。

事業を行っているのはどんなところ?


宿泊型自立訓練事業を行うためには、医療法人、社会福祉法人、株式会社、合同会社、NPO法人など法人である必要があります。

どんなスタッフがいる?


宿泊型自立訓練を行う事業所には、管理者、サービス管理責任者、地域移行支援員がいます。

それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

地域移行支援員とは


地域移行支援員は、知的障害や精神障害がある方が、地域で生活するために色々な支援を行ってくれるスタッフです。
看護師などの専門職が必ず配置されていますので、地域での生活についての悩みを安心して相談することができます。

宿泊型自立訓練にはどんな設備があるの?


宿泊型自立訓練には、訓練・作業室、洗面所、便所、居室、浴室があり、それぞれ基準があります。

宿泊型自立訓練はどうやって利用したらいい?


宿泊型自立訓練を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
宿泊型自立訓練を利用する際には、以下の手続きを行う必要があります。

①相談、申請をする
利用者の住民票がある市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に相談し、サービスを利用するための障害者福祉サービス受給者証申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や障害、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。

③認定結果通知
認定結果が自宅に郵送されます。

④宿泊型自立訓練利用開始
宿泊型自立訓練が必要と認定された場合、相談支援事業所と共にサービス等利用計画書を作成し、事業所と契約を結んだのち、支援サービスを開始できるようになります。

宿泊型自立訓練事業所の探し方


宿泊型自立訓練事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、自立生活援助を受けたいことを相談するとよいでしょう。

事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

宿泊型自立訓練事業所を選ぶポイント


宿泊型自立訓練事業所を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色などを確認するとよいでしょう。

宿泊型自立訓練は施設によって雰囲気などは違います。

実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学が可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

実際に見学や一泊の体験を行うと、施設の雰囲気やスタッフの対応の仕方、訓練の内容などを知ることができ、安心して利用へとつなげることができます。

地域生活へ移行するために宿泊して訓練を行う場所ですので、心配な点は事前に市町村窓口や事業所に確認することをおすすめします。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。


今回ご紹介した情報を参考に、利用者が自立した生活を送ることができる支援をしてくれる宿泊型自立訓練を選んでいただければ幸いです。