自立生活援助とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 自立生活援助

自立生活援助とは、障害のある方が1人暮らしができるよう支援するサービスです。

この記事では、自立生活援助の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。自立生活援助を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

自立生活援助とは


自立生活援助の法律定義


自立生活援助は障害者総合支援法に基づくもので、「定期的に利用者の居宅を月2回訪問し、食事・洗濯・掃除などに問題はないか、公共料金や家賃に滞納はないか、体調に変化はないか、通院しているか、地域住民との関係は良好かなどについて確認を行い、生活等に関する相談及び助言、就労先その他関係機関との連絡、その他の必要な日常生活上の世話を行う」
と定義されています。

自立生活援助は、障害福祉の中で、自立訓練給付の中の「訓練等給付」にあたります。

自立生活援助は、1人で暮らすための支援を行うサービス


自立生活援助は障害のある方が、「地域で一人暮らしを行いたい」「地域での生活を送りたい」といった場合に受けることができるサービスです。
地域社会から孤立しないよう、自宅へ定期的に訪問したり、関係機関との連携をはかるなどといったサービスを行います。

対象は、1人暮らし希望で、障害者グループホームや障害者自立支援施設などを利用していた障害のある方などです。
自立生活援助は、知的障害や精神障害のため、一人での生活に不安がある場合に利用することができます。

自立生活援助のサービスにはどのようなものがある?



自立生活援助では、
①定期的に自宅を巡回訪問する
②相談や助言を行う
③関係機関との連絡調整
などのサービスを受けることができます。

自立生活援助の利用対象者の条件


自立生活援助を利用できるのは、
・障害者支援施設や、障害者グループホーム、精神科病棟などから地域での一人暮らしに移行した障害者などで、地域での一人ぐらしに不安がある方
・1人暮らしで、自立生活援助による支援が必要な方
・障害、疾病のある家族と同居しており、家族による援助が期待できないため、実質1人暮らしの状況で、自立生活援助による支援が必要な方
・児童福祉施設に入所していた18歳以上の方、障害者支援施設等に入所していた15歳以上の方
・身体障害者(65歳未満の方または、65歳に達する前日までに障害福祉サービスもしくは、これに準ずるものを利用したことがある方)

こんな方におすすめ!自立生活援助のメリット


自立生活援助には、様々なメリットがあります。

定期的に自宅に訪問してくれる


自立生活援助では、地域生活支援員が定期的に自宅を訪問し、生活状況を確認したり日頃の相談にものってくれるので、利用者や家族にも安心です。

指導や助言、関係機関との連絡も行ってくれる


自立生活援助では、生活面などで必要な際、地域生活支援員から指導や助言を受けることがで
きます。
必要な場合は、関係機関との連絡調整を行ってくれます。

以上のように、障害のある方が1人暮らしを行うためにしなければならないことを、一つ一つサポートしてくれるのが、自立生活援助です。

自立生活援助は、こんな場面で使われている!



自立生活援助での具体的なサービスとして、
・自炊などができていない場合、配食サービスなどを利用するとよいなどの提案・調整
・通院の管理が利用者一人でできない場合、通院日の連絡をしてくれたり服薬指導を薬剤師に依頼などの調整
・買い物に行くことができていない場合、食材の配達サービスがあることを提案、調整
・閉じこもりがちの生活になっていた場合、他者との交流が図れる機会をもてるよう支援
などがあります。自立生活援助は、障害のある方が1人で暮らすために制度や関係機関などの社会的資源を調整してくれるサービスなのです。

自立生活援助で気になること


実際に自立生活援助を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


自立生活援助では、月に1度、障害福祉サービス費の自立生活援助サービス費がかかります。
自立生活援助サービス費には、以下のように(Ⅰ)、(Ⅱ)と単価の違いがあります。

自立生活援助サービス費(Ⅰ)


・障害者支援施設、共同生活援助、精神科病院などから退所などをして1年以内の方
・同居者の死亡及びこれに準ずる理由として市町村が認める理由により、単身生活を開始した日から1年以内の方

自立生活援助サービス費(Ⅱ)


上記以外の方

自立生活援助サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)は、利用者数、地域生活支援員の人数によってさらにそれぞれ単価の違いもあります。

その他、まざまな加算の設定があり、その加算がかかる場合があります。

障害者福祉サービスでの費用は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。

ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

事業を行っているのはどんなところ?



自立生活援助を行っているのは、
・指定障害福祉サービス事業者(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、宿泊型自立訓練または共同生活援助を行う者)
・指定障害者支援施設
・指定相談支援事業者
です。

どんなスタッフがいる?


自立生活援助を行う事業所には、管理者、サービス管理責任者、地域生活支援員がいます。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

地域生活支援員とは


地域生活支援員は、国が「地域生活支援拠点」の整備を進めるために設置された専門職です。
障害者や家族の相談支援、必要な期間との調整、利用者の見守りなどの生活支援を行います。

自立生活援助はどうやって利用したらいい?


自立生活援助を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
自立生活援助を利用する以下の手続きを行う必要があります。
自立生活援助は、障害福祉サービスの中で「訓練等給付」となっています。

①相談、申請をする
最寄りの市町村の障害サービス窓口や相談支援事業所に相談し、サービスを受ける申請を行います。

②障害程度区分の判定を受ける
市町村から現在の生活や障害、利用している福祉サービスについて調査があります。この調査結果から、審査・判定が行われ、福祉サービスがどのくらい必要なのか示した障害程度区分が決定されます。

③認定結果通知
認定結果が自宅に郵送されます。

④日常生活援助利用開始
日常生活援助が必要と認定された場合、相談支援事業所と共にサービス等利用計画書を作成し、事業所と契約を結んだのち、支援サービスを開始できるようになります。

サービスの利用期間は1年間


自立生活援助の利用期間は1年間ですが、利用期間終了後も市町村から必要性を認められた場合、さらに1年更新ができる場合があります。

自立生活援助事業所の探し方


自立生活援助事業所を探すには、お住まいの市町村の障害福祉課の窓口に、自立生活援助を受けたいことを相談するとよいでしょう。
事業所一覧やパンフレットを利用して、受けたいサービスについて教えてくれたりします。
また、障害福祉サービスの情報サイトから検索するなどして、直接事業所に問い合わせをする方法もあります。

自立生活援助を選ぶポイント


自立生活援助事業所を選ぶ際は、利用者の自宅から近い場所の事業所を探すことがおすすめです。
近い方が、困ったときにすぐに対応してくれたり、地域の障害福祉サービスについての情報に詳しい場合があるからです。
また、その事業所の設備や特色、理念などを確認するとよいでしょう。
利用者が1人暮らしをする上で、心配な点は事前に市町村窓口や事業所に確認することをおすすめします。
専門的にどのようなサービスが受けられるのか、また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所を訪問して確認するとよいでしょう。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。
どの事業所にするか判断に迷ったときは、市町村の障害福祉の窓口や、障害福祉の専門家に相談してみることをおすすめします。

今回ご紹介した情報を参考に、利用者と家族が充実した生活を送ることができる支援をしてくれる自立生活援助を選んでいただければ幸いです。