就労定着支援とは、生活介護や就労移行支援を利用して企業に就労した障害者の相談を受けたり、生活上の課題解決にむけて支援するサービスです。
この記事では、就労定着支援の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。就労定着支援を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。
就労定着支援とは
就労定着支援の法律定義
就労定着支援は障害者総合支援法に基づくもので、「障害者との相談を通じて生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う問題解決に向けて必要となる支援を行う」と定義されています。
さらに、「月1回以上は障害者との対面支援を行う」「月1回以上は企業訪問を行う」としています。
就労定着支援は、障害福祉の中で、自立訓練給付の中の「訓練等給付」にあたります。
就労定着支援は、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、生活介護、自立訓練といったサービスを受け一般就労をした方に向けたサービスです。
精神障害者、知的障害者、発達障害者などの方は就労することができても、職場環境や人間環境になじめず就労が定着しないという点があります。
就労定着支援ではそのようなときに、利用者や雇用事業所、家族、医療機関などと連携をとり課題解決にむけて調整を行います。
就労定着支援は、一般就労をしている障害者が長く職場で定着できるように支援するサービス
就労定着支援にはどのようなものがある?
就労定着支援では次のようなサービスが受けられます。
長期間のサポート
利用者が就職して最大3年間、就労定着支援スタッフによるサポートを受けることができます。
面談や電話、メールなどで相談にのってくれます。
連携期間との調整
利用者が就労中に感じた、仕事・人間関係・職場環境などの課題が解決できるよう、利用者本人を含め連携期間との調整サービスを受けることができます。
職場訪問
就労定着支援による就労先訪問を受けることができ、職場環境での課題に向けた解決のサポートを受けることができます。
就労定着支援の具体的な支援内容は?
就労定着支援では、
月1回以上、利用者と対面で面談し、勤務状況や業務の改善点、困りごと、企業側に伝えたいことなどを聞きます。さらに、企業担当者から利用者への希望などを聞き、利用者と企業の考えがマッチできるようにします。
また、医療機関や福祉機関などとの連携を取り、利用者が雇用された企業で就労が維持できるように支援します。
さらに、問題解決に向けた支援も重要なポイントです。障害のある方が一般職で就労が定着するまでには、時間を要します。
就労定着まで、いくつもの課題点を解決するための環境づくりも就労定着支援の大切な役割です。
就労定着支援の利用対象者の条件
就労定着支援を利用できるのは、
就労移行支援事業や就労継続A型支援等を経て一般就労した方です。
こんな方におすすめ!就労定着支援のメリット
就労定着支援には、様々なメリットがあります。
職場での困りごとの相談にのってくれる
就労定着支援では、職場での不安や困りごと、人間関係などの相談にのってくれ問題解決につなぐことができます。
緊急時などでもすぐに対応してくれる
問題が発生した場合でも、必要に応じた面談や訪問などが受けられます。
地域一体となった支援を受けることができる
就労定着支援では、利用者、家族、企業、医療機関、地域の障害者福祉サービスなどと連携をとり、地域一丸となった支援を受けることができます。
会社側にもメリットがある
就労定着支援では、就労定着支援員が障害のある方が働きやすい環境づくりについて助言などもしてくれるため、会社も安心して雇用継続することができます。
就労定着支援で気になること
実際に就労定着支援を利用する上で、気になる点を解説します。
必要な費用は?
就労定着支援は、利用者数や就労定着率によって異なる就労定着支援サービス費がかかります。
その他、特別地域加算など各種加算がかかる場合があります。
障害者福祉サービスでの費用は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。
世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、それ以上の負担がかかることはありません。
ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。
利用期間はある?
就労定着支援の利用期間は、1年ごとの更新が行われます。
最長で3年間までサポートを受けることができ、就職後7か月めから就職後3年6か月めまで
利用できます。
また、就労移行支援事業所・就労継続支援A型事業所・自立訓練事業所などを利用して就職した場合、就職後それまで利用していた事業所で6か月間就労定着支援を受けられます。
事業を行っているのはどんなところ?
就労定着支援を行う事業所は、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。
実際に業務を行っているのは、
・民間企業
・就労移行支援事業所
・障害者就業・生活支援センター
・地域障害者職業センター
などです。
どんなスタッフがいる?
就労定着支援を行う事業所には、管理者、サービス管理責任者、就労定着支援員などがいます。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。
就労定着支援員とは
就労定着支援員とは、利用者が就職後きちんと働くことができているか、職場環境はどうか、利用者と企業側それぞれに意見の相違はないかなどを把握し、相談や支援などを行うスタッフです。
就労定着支援員には資格や経験は必要ありませんが、介護福祉士・社会福祉主事任用資格などの資格をもつ専門性の高い支援員もいます。
就労定着支援はどうやって利用したらいい?
就労定着支援を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
就労定着支援を利用する際には、以下の手続きを行う必要があります。
市町村の障害福祉窓口に申請する
就労定着支援の利用を希望する場合、市町村の障害福祉窓口に申請が必要です。
就労定着支援サービスを利用できるのは、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援の利用を得て、一般就労している方です。
そのため、すでに訓練等給付の対象となっているので、障害程度区分の認定などを新たに受ける必要はありません。
就労定着支援を利用したいと考えている方は、まず現在利用されている事業所に相談することをおすすめします。
就労定着支援を選ぶポイント
就労定着支援を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色、仕事内容、職場環境などを確認するとよいでしょう。
実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学などが可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。
事業所によって、各障害についての専門性、プログラム内容、方針が異なります。
利用者の特性に合った雰囲気の就労定着支援事業所を選ぶことをおすすめします。
また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、など実際に事業所の見学や訪問を通して感じることも必要です。
さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。
今回ご紹介した情報を参考に、自立に向けた就労定着支援を選んでいただければ幸いです。