居宅訪問型児童発達支援とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 居宅訪問型児童発達支援

居宅訪問型児童発達支援とは、外出することが著しく困難な重度の障害がある子どもが、日常生活の向上のために必要な訓練などを、居宅で受けることができるサービスです。
この記事では、居宅訪問型児童発達支援の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。居宅訪問型児童発達支援を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

居宅訪問型児童発達支援とは


居宅訪問型児童発達支援の法律定義


居宅訪問型児童発達支援は児童福祉法に基づくもので、「障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与等の支援を行う」と定義されています。
居宅訪問型児童発達支援は、就学前~満18歳に達するまで利用することができます。

居宅訪問型児童発達支援は外出が困難な障害児への訪問サービス


医療的ケアが必要であったり、重い障害で外出することができない子どもは、家族との関わりが少なく集団ですごす機会が得られないことが多いです。
保護者にとっても、
「お友達との交流がないのが心配」
「子どもの発達がどうなのか不安」
「子どもとの関わり方がわからない」
など、子どもの発達に関して様々な不安や悩みを抱えている場合があります。

居宅訪問型児童発達支援では、専門の知識をもった訪問支援員が居宅を訪問し、子どもが人と関わる経験や訓練をうけられるサービスを行うため、本人や保護者にとっても不安を解消できるメリットがあります。

居宅訪問型児童発達支援で受けられるサービス


居宅訪問型児童発達支援で行われるサービスには、子どもの発達・障害状況に合わせて、
・身体運動
・手の運動
・感覚運動
などを、遊びを交えながら行っています。

具体的には、
・リズム遊び、楽器遊び、うた
・粘土遊び・水遊び・スライム遊び
・手浴、足浴、絵本の読み聞かせ
など、子どもが楽しみながら自然に訓練が行えるようなサービスです。

居宅訪問型児童発達支援の利用対象者の条件


居宅訪問型児童発達支援を利用できるのは、
①日常的に医療を受ける必要がある重度の障害児
②重症心身障害児など重度の障害児
③重い疾患があり、集団の場では感染のリスクが高い障害児
で、児童発達支援や放課後等デイサービス利用などが困難な就学前~18歳未満の子どもです。

実際には、
・重度の精神障害で外出ができない
・人口呼吸器の装着などのため、通所できない
・各種手帳で重度の判定を受けている(身体障害者手帳1級・2級に相当)
・強度行動障害があり、集団生活が困難
・重度先天性免疫不全症、心疾患などのため外出にはリスクが高い
などの障害児が居宅訪問型児童発達支援のサービスを利用しています。

居宅訪問型児童発達支援で気になること


実際に居宅訪問型児童発達支援を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


居宅訪問型児童発達支援は、障害児給付費の対象となります。
受給者証を取得して居宅訪問型児童発達支援を利用すると、利用料の9割が国や自治体から給付されるため、1割を利用者が負担します。
居宅訪問型児童発達支援を利用した日数分を支払いますが、前年度の所得によって一か月に保護者が負担する上限は設定されているため、その金額以上の負担はありません。
ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

利用回数は?


週2回を目安に、日常生活の基本動作や生活能力を向上させるための訓練を行います。
本人の体調に合わせて行うことが可能です。
また、毎日の通所が体力的に難しい子どもが、居宅訪問型児童発達支援と通所施設を併用し、最終的に通所施設のサービスへ移行できるよう行われている場合もあります。

居宅訪問型児童発達支援は、受給者証で受けられるサービスの量が決められています。
受給者の申請時に審査があり、ひと月に使える日数の上限が受給者証発行時に決定されます。
その範囲内で、必要なサービスを組み合わせて利用計画が立てられ、利用が開始されます。

居宅訪問型児童発達支援の利用期間は?


対象年齢は、就学前~18歳未満までで利用期間の制限はありません。
長い期間支援を受けることが可能なので、本人の状態を把握したスタッフによる支援を受けることができます。

居宅訪問型児童発達支援利用中は、6か月に1回以上目標達成できているかの評価(モニタリング)が行われます。居宅訪問型児童発達支援を利用する際、事業所による個別支援計画が作成され、定期的なモニタリングと見直しが必要となっています。
この際、本人の状況確認とともに保護者と面談し、保護者からの計画の評価や支援の効果も確認します。

事業を行っているのはどんなところ?


居宅訪問型児童発達支援を行う事業所は、医療法人、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。

どんなスタッフがいる?


居宅訪問型児童発達支援を行う事業所には、管理者、訪問支援員、児童発達支援管理者がいます。
訪問支援員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、保育士、児童指導員、心理指導担当職員などの専門職が行っています。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

居宅訪問型児童発達支援はどうやって利用したらいい?


居宅訪問型児童発達支援を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
居宅訪問型児童発達支援を利用するには、以下の手続きを行う必要があります。

①市町村の障害福祉窓口に相談する
各自治体の障害福祉課などに相談をします。
その際、専門家や相談員などによる成育歴などの聞き取りなどが行われます。

②利用申請
居宅訪問型児童発達支援を利用するための申請を行います。

③利用計画の作成
相談支援事業所で「障害児支援利用計画案」の作成を行います。
申請の際、市町村窓口から指定相談支援事業所を紹介されることが多いですが、自分で相談支援事業所を探したり、自分でプランを立てることも認められています。
手続きを行う中で、希望する事業所の体験や見学を同時に行っていくとよいでしょう。

④受給者証の発行
③の書類が完成すると、市区町村から「受給者証(支給決定)」が発行され、自宅に郵送されます。

⑤契約~利用開始
受給者証を受け取ったら、希望する事業所と契約し、居宅訪問型児童発達支援の利用が開始されます。

居宅訪問型児童発達支援を選ぶポイント


居宅訪問型児童発達支援を選ぶ際は、その業所の設備や理念、特色、どんな職員がいるか、訓練内容にはどのようなものがあるかなどを確認するとよいでしょう。
実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学や体験などが可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。また、スタッフの関係はどうなのか、医療的なケアや訓練内容はどうかなど、実際に事業所の見学や訪問を通して感じることも大切です。

さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
居宅訪問型児童発達支援事業所には、訪問看護ステーションや、保育所等訪問支援事業なども併設しているなど支援環境が整っているところもあります。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、子どもの発達を伸ばすことができる居宅訪問型児童発達支援を選んでいただければ幸いです。