障がい者の支援はさまざまな法律に基づいて行われているのは理解しているけれど、具体的にどのような法律があるのかまではよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では障がい者を支える法律の種類や内容について詳しく解説します。
障がい者を支える法律とは?
障害者に関する法律は多岐に渡りますが、その中でも特に知っておきたい法律を5つわかりやすくご紹介します。
障害者基本法
障がい者にとって一番大切な法律と言えるのが1970年に施行された障害者基本法です。
法律の対象となるのは障がい者ですが、身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、その他の心身の機能の障がいがあり、障がいや社会的障壁により継続的に日常生活や社会生活に制限を受ける状態にある人と定義づけられています。
全ての国民が障がいの有無にかかわらず尊重し合いながら共生する社会を実現するのを目的としているため、障がい者の自立や社会参加の支援のための施策の基本となる事項を法律内で定めています。
2011年8月の改正では障がい者の定義が拡大されたこと、合理的配慮の概念が導入されたことの2つがポイントと言えるでしょう。
前者によって性同一性障害の人なども障がい者に含まれるようになり、後者によって障がい者が望んだ場合過度の負担とならない範囲で社会的障壁を取り除くための便宜が図られるようになりました。
参考:e-GOV法令検索「障害者基本法」
障害者総合支援法
障害者総合支援法は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が正式名称で、2005年に障害福祉サービスへの給付、地域生活支援事業の充実、障がい者が地域で安心して生活できることを目的に制定されました。
障害者総合支援法の対象者は次の通りです。
- 身体障害者福祉法第四条に規定する身体障がい者
- 知的障害者福祉法にいう知的障がい者のうち18才以上の人
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障がい者
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二条第二項に規定する発達障がい者
- 厚生労働大臣が定める難病で18才以上の人
- 児童福祉法第四条第二項に規定する障害児
障害者総合支援法に基づいて、障害福祉サービス、地域生活支援事業、障がい児を対象としたサービスなどさまざまな支援が行われています。
参考:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
精神保健福祉法
精神保健福祉法は正式名称を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と言い、1950年に精神障がい者に対して医療の提供や保護を行い、自立や社会経済活動への参加をしてもらうことを目的に制定されました。
精神保健福祉法では精神保健福祉センターや精神保健指定医についてなども定められていますが、強制入院制度に関しての内容が多いのが特徴的と言えるでしょう。
精神保健福祉法に定められた精神科への入院形態を表にまとめてみました。
入院形態の名前 | 入院の分類 | が異様 |
---|---|---|
任意入院 | 自発入院 | 本人の同意に基づく入院で開放病棟で処遇される |
措置入院 | 非自発入院 | 自傷や他害の可能性がある場合強制的に入院させることで、精神保健指定医2名の診察を必要とする |
緊急措置入院 | 非自発入院 | 自傷や他害に及んだか可能性が高い場合強制的に入院させることで、72時間の期限つきで精神保健指定医1名の診察で入院できる |
医療保護入院 | 非自発入院 | 精神保健指定医の診断で精神障がい者と診断されたが入院の同意が得られない場合、家族などの同意で入院すること |
応急入院 | 非自発入院 | 本人や家族の同意を得られない場合でも72時間の期限つきで精神保健指定医の診察の上入院すること |
強制入院で治療を受けたとしても、社会的入院や人権侵害などが行われないよう、報告や行政の監査が行われます。
参考:e-GOV法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」
知的障害者福祉法
知的障害者福祉法は1960年、知的障がい者の自立と社会経済活動への参加を促進するために必要な医療の提供や保護を行うのを目的に制定されました。
知的障害更生相談所、知的障害者福祉司、知的障害者相談員などについて定められ、療育手帳制度の根拠となる法律としても知られています。
参考: e-Gov法令検索「知的障害者福祉法」
身体障害者福祉法
身体障害者福祉法は1949年、身体障がい者の自立と社会経済活動への参加を促進するために必要な援助や保護を行うのを目的に制定されました。
身体障害者福祉司、身体障害者相談員、障害福祉サービスなどについて定められ、都道府県知事が交付する身体障害者手帳についても記載されています。
参考:e-GOV法令検索「身体障害者福祉法」
まとめ
障がい者を支援するために知っておきたい法律は「障害者基本法」「障害者総合支援法」「精神保健福祉法」「知的障害者福祉法」「身体障害者福祉法」の5つで、障がい者が受けられる支援についてそれぞれ細かく定められています。
制度の根拠となる法律に興味を持ち、ぜひ支援に対する理解を深めてみてください。