広汎性発達障がいとは?法律と医学による定義から特性まで詳しく解説

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広汎性発達障がいという言葉を初めて聞いたけれど、自閉スペクトラム症、ADHD、LDなどの発達障がいとどのように違うのかいまいちわからないと困っている人はいませんか?
この記事では広汎性発達障がいの定義から特性まで詳しく解説します。

広汎性発達障がいとは?


広汎性発達障がいとは特定の発達障がいの名称ではなく、複数の発達障がいを含むグループを指す言葉で、日本では法律と医学による定義づけが行われているためそれぞれを詳しく見てみましょう。

医学による定義


発達障がいの医学による定義づけには、精神障害の診断基準を示すためにアメリカ精神医学会によって出版された書籍「精神障害の診断と統計マニュアル(DSMー5)」と世界保健機関(WHO)の医療分類リストである「国際疾病統計分類(ICDー11)」の両方が使用されます。
広汎性発達障がいは精神障害の診断と統計マニュアルの4回目の改定版であるDSMー4と国際疾病統計分類の10回目の改訂版であるICDー10で定義づけられており、次の発達障がいが含まれます。
  • 自閉症
  • アスペルガー症候群
  • 他に特定されていない広汎性発達障がい
  • 小児崩壊性障がい
  • 精神遅滞およびストライプ化された運動に関連する過活動障がい
  • レット症候群

このうち最初の4つがDSM-5で定義づけられた自閉スペクトラム症ですが、日本では発達障がいの医学による定義づけにおいてまだ広汎性発達障がいと自閉スペクトラム症が混在していることに注意しましょう。

法律による定義


広汎性発達障がいは、日本の法律では精神保健福祉法と発達障害者支援法の対象者として位置づけられています。
そのため精神保健福祉法に基づいて精神障害者保険福祉手帳が発行されたり、発達障害者支援法に基づいて早期診断、療育、教育、就労、相談など必要な支援を受けたりすることができるのです。
参考: e-GOV法令検索「発達障害者支援法」
参考:e-GOV法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

広汎性発達障がいの特性


広汎性発達障がいの人には次のような特性があるため、表にまとめてみました。
項目概要
社会性の障がい他者との社会的な相互関係を作るのが難しい
コミュニケーションの障がい他者との言語コミュニケーションや非言語コミュニケーションが苦手
特徴的なこだわりや興味興味の幅が狭くこだわりが強い

また併せ持つことが多い特性として、感覚過敏や感覚鈍麻、睡眠障がいなどが挙げられます。

広汎性発達障がいの子供に関わる時の工夫


広汎性発達障がいの子供に関わる時は、それぞれの障がい特性に応じて次のような工夫をするのが望ましいでしょう。
項目概要
社会性の障がい
  • 視線を合わせて話しかけ、話を聴く
  • 人との関わり方を具体的に教える
コミュニケーションの障がい
  • 自分の気持ちの表現の仕方を教える
  • 遊びの中でソーシャルスキルトレーニングをする
特徴的なこだわりや興味
  • 例え話をしない
  • 活動の区切りを明確にする
  • 予定変更は早めに丁寧に伝える

本人が落ち着ける環境を整え、パニックを起こしても見守りを続けるなど冷静に対処することが重要です。

広汎性発達障がいの大人への支援


広汎性発達障がいの大人に対する支援について最新の情報を収集するには、国立障害者リハビリテーションセンターの「発達障害情報・支援センター」のホームページを確認することをおすすめします。
ホームページには発達障がい者を支える制度から、受診についてまでさまざまな情報が掲載されていますが、広汎性発達障がいの大人を支援するにあたって目を通してほしいページを3つご紹介します。

発達障害者支援センターのページ


発達障害者支援センターとは発達障がい者や発達障がい児への支援を総合的に行うのを目的として設立された専門機関で、次の4つの役割を担っています。
  • 相談支援
  • 発達支援
  • 就労支援
  • 普及啓発、研修

一覧のページには全国の発達障害者支援センターの連絡先が記載されているため、大人の広汎性発達障がいの人への支援に困ったら問い合わせをしてみるとよいでしょう。
参考:発達障害情報・支援センター「相談窓口」

合理的配慮についてのページ


障害者差別解消法で発達障がい者に対し合理的配慮をしなければならないと定められたことは知っていても、具体的に何をどこまで配慮すればよいのかがわからない人も多いでしょう。
合理的配慮についてのページでは、理解しやすいリーフレットから具体的な事例まで多数掲載されているため、迷った時にはまずここで調べてみることをおすすめします。
参考:発達障害情報・支援センター「発達障害のある人への合理的配慮」

「みなさんに、わかってほしいこと」のページ


発達障害情報・支援センターの「みなさんに、わかってほしいこと」のページでは、発達障がいについて誤解されやすい次の4つの事項について、わかりやすくまとめてあります。
  • 診断名への誤解
  • 障がいの予後についての誤解
  • 支援方法についての誤解
  • 町の中で見られる行動についての誤解

この4項目について学ぶだけでも広汎性発達障がいの人への理解が深まるので、支援を考えている人は目を通すようにしましょう。
参考:発達障害情報・支援センター「みなさんに、わかってほしいこと」
参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」

まとめ


広汎性発達障がいとは特定の発達障がいの名称ではなく、複数の発達障がいを含むグループを指しますが、特性を知ることで子供から大人まで支援しやすくなるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ広汎性発達障がいについて理解を深めてみてください。