障がい者雇用制度について調べていたら特例子会社という言葉を初めて目にしたけれど、どのような会社なのかがいまいちよくわからないという人はいませんか?
この記事では特例子会社制度の概要から働くメリットまで詳しく解説します。
特例子会社制度とは?
障がい者雇用率制度においては障がい者が雇用される機会を確保するため、各企業に対し法定雇用率の達成を義務付けています。
2021年3月より、法定雇用率は次のように定められています。
事業者の種類 | 法定雇用率 | |
---|---|---|
民間企業 | 民間企業 | 2.3% |
特殊法人等 | 2.6% | |
国及び地方公共団体 | 国と地方公共団体 | 2.6% |
都道府県等の教育委員会/td> | 2.5% |
障がい者の雇用促進と安定を図るため、事業者が障がい者雇用に特別に配慮した子会社を設立して一定の要件を満たした場合、その子会社を特例子会社と呼び、特例子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているとみなして実雇用率を算定できるのです。
特例子会社として認定されるための要件は次の通りです。
会社の種類 | 要件 |
---|---|
親会社 |
|
子会社 |
|
特例子会社は一般の企業と比較すると、仕事内容から働く環境まで障がい特性に対する合理的配慮が手厚く行われていると言えるでしょう。
参考:厚生労働省「事業主の方へ」
特例子会社の現状
2004年から2021年まで毎年6月に厚生労働省が行った調査結果によると、2004年に153社だった特例子会社は2021年には562社にまで増加しました。
また特例子会社で働く障がい者数は2004年には4,186人でしたが、2021年には31,163人まで増えたことから、特例子会社は障がい者の働く場として一定の役割を果たせるようになったと言えるでしょう。
特例子会社にはどのような会社があるのかや、設立した親会社はどこなのかを詳細に知りたい人は、厚生労働省のホームページに公開されている特例子会社一覧に目を通してみることをおすすめします。
また特例子会社が障がい者を雇用するにあたって具体的にどのような取り組みをしたのかを知りたい人は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する「障害者雇用事例リファレンスサービス」で特例子会社の行ったモデル事例と合理的配慮事例を検索してみましょう。
2022年8月現在モデル事例は196件、合理的配慮事例は94件出てくるので、業種、障がいの種別、従業員規模などでさらに絞って検索すると自分のニーズに合った事例を参考にすることができます。
参考:厚生労働省「事業主の方へ」
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」
事業主のメリット
事業主が特例子会社を設立するメリットは次の通りです。
- 障がいの特性に合わせた仕事や環境を整えられるので、障がい者の持つ能力を最大限に発揮しやすい
- 職場定着率が高まり生産性の向上が見込める
- 障がい者が働きやすくするための設備投資を特例子会社に集中して行うことができる
- 障がい者を雇用するのに適した親会社と異なる労働条件を設定できる
- 特例子会社制度は障がい者の人に一定の認知度を持つため求人がしやすくなる
- 障がい者雇用のノウハウを蓄積できる
事業主にとっては障がい者に必要な合理的配慮をしやすくなり、障がい者雇用のノウハウが蓄積できるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
障がい者のメリット
障がい者が特例子会社で働くメリットは次の通りです。
- 特例子会社があることにより、障がい者の働く場が広がる
- 外部の支援機関からのサポートを継続的に受けられる
- 特定の障がいに特化した特例子会社もあるため自分に合った環境を見つけやすい
- 良い意味で環境の変化が少ないため落ち着いて働くことができる
- 病気や障がいに理解のある同僚や上司と働くことができる
- 人目を気にせず服薬や通院などができるため体調管理がしやすい
障がい者にとっては自分の能力を発揮するための環境が整えられているため、障がいのことに気を取られ過ぎず仕事に集中できるのがメリットだと言えるでしょう。
まとめ
障がい者の雇用促進と安定を図るため、事業者が障がい者雇用に特別に配慮した子会社を設立して一定の要件を満たした場合、その子会社を特例子会社と呼びますが、2021年には社数は562社、働く障がい者は31,163人となったことから、障がい者の働く場として一定の役割を果たしていると言えるでしょう。
この記事も参考にし、ぜひ就職の選択肢の1つとして特例子会社も検討してみてください。