高機能自閉症の人のコミュニケーションにおける困りごととは?

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高機能自閉症の人が職場にいて、コミュニケーションがうまくいかず困っている様子だけれど具体的にどのようなサポートをすればよいのかよくわからず困っている人はいませんか?
この記事では高機能自閉症の人のコミュニケーションにおける困りごとから解決策まで詳しくご紹介します。

高機能自閉症とは?


高機能自閉症とは、自閉スペクトラム症のうち知的発達の遅れがなく言語発達に遅れがある状態のことを指します。
しかし精神障がいの診断基準を示すためにアメリカ精神医学会によって1980年に出版された書籍「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」の第5版であるDSMー5では、早期幼児自閉症、小児自閉症、カナー型自閉症、高機能自閉症、非定型自閉症、小児期崩壊性障害、アスペルガー症候群が「自閉スペクトラム症」として統合されたのです。
このことから、この記事では自閉スペクトラム症の人のコミュニケーションにおける困りごととその解決策を紹介していきます。

自閉スペクトラム症の人のコミュニケーションにおける特徴


言葉によるコミュニケーションを言語コミュニケーション、言葉によらないコミュニケーションを非言語コミュニケーションと呼びますが、自閉スペクトラム症の人のコミュニケーションにおいてはそれぞれ次のような特徴があります。
コミュニケーションの種類自閉スペクトラム症の人の特徴
言語コミュニケーション
  • 言葉を文字通りに解釈し例え話や皮肉を理解するのが苦手
  • 言葉での指示を理解するのが苦手
  • エコラリア(オウム返し)をする
  • 独特なイントネーションや抑揚のない一本調子な話し方をする
  • 疑問形や疑問文で話す
  • 誰にでも敬語を使い極端に言葉遣いが丁寧
  • 改まった話し方や大人びた話し方をする
  • 早口で話す
  • 名詞と動詞だけで話す
  • かん高い声で話す
非言語コミュニケーション
  • 身振りや指差しなどの身体の動きを理解するのが苦手
  • 目の動きが理解できない
  • 話の文脈や言葉のニュアンスを読み取るのが苦手

周囲の人は自閉スペクトラム症の人の特徴的なコミュニケーションに戸惑う可能性もありますが、障がいからくる特性であると理解することが大切です。

自閉スペクトラム症の人のコミュニケーションにおける困りごと


自閉スペクトラム症の人は、コミュニケーションにおいてどのような困りごとを抱えているのでしょうか。
3つご紹介します。

自分の意図とは関係なく相手を傷つけてしまう


自閉スペクトラム症の人は話の文脈や言葉のニュアンスを読み取るのが苦手であることから、不謹慎な発言やその場に合わない発言をし自分の意図とは関係なく相手を傷つけてしまうことがあります。
自分の大切な人を傷つけているのにその場では気づくことができないため、歯がゆい思いをしたり、自己嫌悪に囚われたりすることがあるでしょう。

曖昧な表現を適切に解釈できない


自閉スペクトラム症の人は言葉を文字通りに解釈することから、「少し」「適当」といった曖昧な表現をされるとそのさじ加減が理解できず、コミュニケーションに支障を生む場合があります。
特に仕事でこのような曖昧な指示をされると程度がわからず、ミスをしてしまうこともあるでしょう。

人間関係を理解するのが苦手


学校では先生と生徒、先輩と後輩、仕事の場では上司、部下、同僚といったさまざまな人間同士の関係性が生まれますが、自閉スペクトラム症の人はこのような曖昧な対人関係や社会関係を理解するのが苦手です。
そのため目上の人と後輩に同じように接してしまい周囲の人がそれを失礼だと感じても、どうしてそれが失礼にあたるのかを理解できないことがあるでしょう。

自閉スペクトラム症の人とうまくコミュニケーションを取るには?


コミュニケーションは自閉スペクトラム症の人が相手の意志を理解することと、本人が自分の意志を伝えることの双方向で行われるため、それぞれのコツをご紹介します。

自閉スペクトラム症の人に理解してもらいやすいコミュニケーションのコツ


五感から取り込んだ情報を記憶して理解・表現する能力を認知特性と言い、物事を見て理解する視覚優位、言葉から理解する言語優位、聴いて理解する聴覚優位の3つに分かれます。
自閉スペクトラム症の人は認知特性が視覚優位であることから、目で見て理解できるように配慮をしましょう。
例えば次のような工夫がおすすめです。
  • 学習、仕事、余暇、日常生活などのスケジュールはスケジューラーなどを用いて目で見てわかるように伝える
  • 物事の手順を説明する時は言葉ではなく図などを用いて説明する
  • 気が散るような音のする環境や多すぎる要求は避ける

自閉スペクトラム症の人が得意なコミュニケーション方法を取るよう配慮するとうまくいくでしょう。

自閉スペクトラム症の人に自分の意志を伝えてもらいやすいコミュニケーションのコツ


自閉スペクトラム症の人は言葉や表情で自分の感情を伝えるのが苦手なので、次のような工夫をしてみましょう。
  • 自分の伝えたいことを画像や表なども用いて説明してもらう
  • 不明な点があれば短い言葉で質問をして回答してもらう
  • 一度にたくさん質問をするのは避ける

自閉スペクトラム症の人から言葉をたくさん引き出すより、コミュニケーションがうまくいくかどうかが重要だということを忘れないようにしましょう。

まとめ


自閉スペクトラム症の人は曖昧な表現や人間関係を理解するのが苦手ですが、認知特性が視覚優先であるため、目で見てわかる表現で双方向のコミュニケーションを工夫することが大切だと言えるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ自閉スペクトラム症の人たちと暖かな人間関係を築いていってください。