発達性協調運動障がいとは?原因から特徴まで詳しく解説

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自分の子供が日常生活において極端に不器用だったり、運動が苦手だったりしてなんだか心配だと感じている人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、発達性協調運動障がいの原因や特徴について詳しく解説します。

発達性協調運動障がいとは?


発達性協調運動障がいとは複数の動作を同時に行う運動である協調運動が年齢相応に発達しておらず、日常生活に支障がある状態を指します。
発達性協調運動障がいは、精神障がいの診断基準を示すためにアメリカ精神医学会によって1980年に出版された書籍「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」の第5版であるDSMー5で神経発達障がい群の運動障害群に含まれているため、医学的には発達障がいとして扱われます。
また発達障害者支援法第2条では発達障がいの定義の1つとして「その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」を挙げています。
これは具体的にはICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」と、「小児(児童)期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害を指します。
そして発達性協調運動障がいはF82であることから、法律上でも発達障がいの1つとして位置づけられることとなるため、発達障害者支援法の支援対象にも含まれるのです。
参考:e-GOV法令検索「発達障害者支援法」
参考:厚生労働省「発達障害者支援法の施行について」

発達性協調運動障がいの特徴


発達性協調運動障がいの特徴を2つご紹介します。

他の発達障がいと併存しやすい


発達性協調運動障がいは発達障がいであるADHDの約30%~50%、LDの約50%に併存し、自閉スペクトラム症でも併存することが多いとわかっています。
しかし子育て、保育、教育の場や医療、療育現場でも認知度が低く、障がいと捉えずにいる場合もあるため、まずは発達性協調運動障がいについて知ることが大切だと言えるでしょう。

成人になっても残存する


発達性協調運動障がいは成人になっても50%~70%の頻度で残存するため、大学での学習、就職など大人になって変化するライフステージにおいてもさまざまな影響を及ぼします。
障がいを持つ本人の自尊感情の低下やメンタルヘルスの悪化を招くため、早期に発見し支援につなげることが重要です。
参考:ラジオNIKKEI 小児科診療UP-to-DATE「発達性協調運動障害 知られていない発達障害」

発達性協調運動障がいの原因


発達性協調運動障がいの原因は、今のところはっきりとはわかっていません。
しかし発達性協調運動障がいの子供は運動機能をコントロールする前頭葉、身体の他の部位から送られてくる感覚情報や方向感覚を維持するのに必要な空間記憶を保存する頭頂葉、記憶に関わる側頭葉の活性化と接続性が低下しているとする論文があります。
参考:アメリカ国立医学図書館「発達協調障害におけるミラーニューロン系機能の系統的レビュー:模倣、運動画像、神経画像の証拠」

発達性協調運動障がいを持つ人や子供への支援方法


発達性協調運動障がいを持つ大人や子供には、どのような支援をするのが望ましいのでしょうか。
3つご紹介します。

療育プログラム


発達性協調運動障がいを持つ人や子供のライフステージに合わせて理学療法、作業療法、感覚統合療法などを組み合わせた療育プログラムを提供します。
発音が正しくできない構音障がい、噛むこと、飲み込むことの問題がある場合は言語療法も行われるでしょう。

薬物療法


発達性協調運動障がいにはADHDの不注意を抑える効果のある中枢神経刺激薬のメチルフェニデート(コンサータ)が有効であるとされています。
このため発達性協調運動障がいとADHDが併存している場合においては、薬物療法が有効になるということです。
もし薬を処方された場合は医師の指示通りに服用を行い、勝手に服薬を止めたり、薬の量を自己判断で増減したりといったことは控えましょう。

心理社会的アプローチ


発達性協調運動障がいによる二次障害で自尊感情の低下やメンタルヘルスの悪化が起こっている場合、カウンセリング、認知行動療法などの心理社会的なアプローチも重要となります。
周囲の人が発達性協調運動障がいの人に対して受容的に接し、暖かく見守ることが二次障がいからの回復の助けになることを覚えておきましょう。

まとめ


発達性協調運動障がいとは複数の動作を同時に行う運動である協調運動が年齢相応に発達しておらず日常生活に支障がある状態を指し、医学的にも法律上でも発達障がいの1つとして位置づけられています。
自閉スペクトラム症、ADHD、LDなど他の発達障がいと併存することが多いにもかかわらずあまり知られていない障がいとも言えるため、まずはこの記事も参考に発達性協調運動障がいについて理解することから始めてみてください。