発達障がいの我が子にどのように接して良いかわからず、疲れてしまったご両親はいませんか?
この記事ではそんなご両親に知ってほしい、ペアレントトレーニングについて詳しく解説します。
ペアレントトレーニングとは?
ペアレントトレーニングとは、厚生労働省では発達障がい児の親が子供の行動を理解し、発達障がいの特性を踏まえた褒め方や叱り方を学ぶための支援と定義づけており、1960年代から心理学のオペラント条件付けの理論を踏まえてアメリカで発展してきました。
具体的には行動の理解、褒め方、?り方、環境調整、不適切な行動の対応などについて親が学び、グループワークやホームワークを通して実践します。
ペアレントトレーニングの種類
日本で実施され、成果が認められているペアレントトレーニングは次の3種類です。
名称 | 歴史 | 活動概要 | 目的 |
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精研・まめの木・奈良式ペアレントトレーニング |
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肥前式ペアレントトレーニング |
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鳥取大学式ペアレントトレーニング |
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いずれも行動療法や行動分析を基礎に、子供の行動変容と親の適切な養育スキルの向上を目的としているのがわかるでしょう。
参考:厚生労働省「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」
ペアレントトレーニングの内容
ペアレントトレーニングの具体的な内容とは、どのようなものなのでしょうか。
日本におけるペアレントトレーニングでは、代表的なペアレントトレーニングに共通する要素があり、これをコアエレメントと呼んでいます。
コアエレメントの内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
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子供の良い所探し&褒める | 子供の適応行動に注目し、子供の特性に応じた褒め方や関わり方ができるようになることを目指す |
子供の行動の3つのタイプ分け | 子供の行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「許しがたい行動」の3つに分け好ましい行動を褒め、好ましくない行動をした際には計画的な無視、環境調整、指示の工夫をすることを学ぶ |
行動理解(ABC分析) | 行動理論に基づいて子供の行動を観察し、A=「行動の前のきっかけ」、B=「行動」、C=「行動の後の結果」の3つに分けて客観的に行動を捉え子供の行動の理由を理解できるようになることを目指す |
環境調整 | 子供の周囲の環境を整え子供が適応的な行動をしやすくするための工夫を考える |
子供が達成しやすい指示 | 子供への声がけや関わり方の工夫を考える |
子供の不適切な行動への対応 | 子供の不適切な行動に注目しすぎず子供の行動を客観的に観察し、冷静に対処できるようになることを目指す |
コアエレメントはペアレントトレーニングに参加する人が何を学ぶのかが示されていますが、コアエレメントをどのように組み合わせるのか、どのような順番で実施するのかは参加する人に合わせて決めることとなっています。
参考:厚生労働省「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」
ペアレントトレーニングの効果
ペアレントトレーニングを行うと、次のような効果があります。
- ペアレントトレーニングの成果を日常生活に反映しやすくなる
- 常に支援ができるため適切な行動を親が習得しやすくなる
- より良い親子関係作りができる
- 子供のQOL(生活の質)が高まる
- 親の仲間作りにつながる
- 親のエンパワーメント(能力開花)につながる
- コストをあまりかけずにできる
ペアレントトレーニングをきっかけに、子供との関わり方がポジティブなものに変化するでしょう。
まとめ
ペアレントトレーニングとは、厚生労働省では発達障がい児の親が子供の行動を理解し、発達障がいの特性を踏まえた褒め方や叱り方を学ぶための支援と定義づけており、日本では成果が認められている3種類のペアレントトレーニングが主に行われています。
子供との接し方や向き合い方に迷った時はぜひ自分に合ったペアレントトレーニングを受け、自分も子供も心地よく過ごせる関係性を少しずつ作っていってみてください。