発達障がいの人への適切な叱り方とは?

トピックス 障害と付き合っていく

発達障がいの人に叱ったり注意したりするのはあまり意味がないと聞くけれど、行動を改めてほしい場合どのように接すればよいのかわからず困っているという人はいませんか?
この記事では発達障がいの人への適切な叱り方についてご紹介します。

発達障がいの人を叱ってはいけない?


発達障がいの人はその特性から、周囲の人から叱られることが多くなりがちです。
叱られる回数が増えるほど本人は自信や自己肯定感を失ってしまうため、むやみに叱るのは避けた方がよいのですが、不適切な行動を取った際は本人の成長のためにもそれを指摘し、改善してもらう必要があるでしょう。

発達障がいの人への適切な叱り方のポイント


発達障がいの人への適切な叱り方のポイントを4つご紹介します。

感情的に叱らない


発達障がいの人は合併症として感覚過敏を持つ人がいるため、感情的になって大声で叱ったり、急に身体に触ったりするのは避けましょう。
まずは冷静になり、相手に改善してほしいことを落ち着いて指摘することが大切です。

叱る基準を明確にする


叱る基準が曖昧だと、発達障がいの人は混乱してしまいどのように行動を改善してよいのかが理解できません。
望ましい行動と望ましくない行動のラインを定め、本人に伝える際は基準がぶれないように配慮するのがよいでしょう。
本人が周囲の人を傷つけてしまったり、社会のルールを守れなかったりといった明確な基準に基づいて叱ることが重要です。

なぜその行動が望ましくないのか理由を伝える


発達障がいの人が望ましくない行動を取った際は、なぜその行動が望ましくないのか理由をはっきりと伝えましょう。
障がいの特性によっては曖昧な表現では理解しにくい場合もあるため、言語化しにくい場合は目で見てわかるよう図や表に書いて説明するのもよい工夫です。

改善してほしい内容を具体的に伝える


発達障がいの人はただ叱っただけでは、どのように行動を改めればよいのかがわからない人もいます。
その場合改善してほしい内容を具体的に、また簡潔に伝え望ましい行動が明確に理解できるよう配慮しましょう。

発達障がいの人への叱り方の例


発達障がいの人への適切な叱り方の例をトラブル別にご紹介します。

仕事のミスが多い場合


発達障がいの中でADHDの人は障がいの特性から、仕事でミスが多くなりがちです。
具体的には次のようなことがよく起こるでしょう。
  • 多様な情報の中から自分にとって重要なものを選択して注意を向ける選択的注意がうまく働かないため仕事に集中できない
  • 短期記憶が苦手で長期記憶を得意とすることから指示の内容を忘れてしまう

このような場合感情的に叱ってしまいそうになりますが、前項目の改善してほしい内容を具体的に伝えるという方法を取りましょう。
まず仕事に集中してもらうために、デスク周りを整理し本人が仕事以外のことが気にならないような環境を整えます。
そして指示の内容だけではなく指示を受けたことや指示を記入したメモ自体をなくすことも想定し、指示はホワイトボードなどで本人の目の前に掲示しましょう。
指示をする際は「してほしいこと」「期限」「手順」を具体的に短い言葉で記入し、本人にとってわかりやすい内容とすることが大切です。

仕事の納期を守れない


発達障がいの人の中で自閉スペクトラム症とADHDの人は障がいの特性から、仕事の納期を守れない時があります。
このような場合、叱る基準を「納期を守れなかった時」で明確化し、なぜ納期を守れないことが望ましくないのか、理由をはっきりと伝えましょう。
その上で作業のスケジュールを視覚化し、本人の目の届くところに掲示して期日までにできたかどうかを本人と上司でダブルチェックすることをおすすめします。
あらかじめ本人には納期を早めに伝えておき、うまく進んでいない場合スケジュールを調整して対応するのも良い方法です。

コミュニケーションがうまく取れない


発達障がいの人は相手の立場に立って物事を考えたり、人の感情をくみ取ったりするのが苦手なため、相手に不快感を与える言動や振る舞いをしてしまう時があります。
お礼や謝罪などをしない場合は「礼儀を欠く行動をした」という基準、相手の感情に配慮しない行動をした際は「他人を傷つけた」という基準で叱り、取るべき行動を明確に指示しましょう。
いったんルールとして身に着けることができれば次からはそれを守って行動できるようになるため、覚えてもらうまで根気よく伝え続けることが大切です。

まとめ


発達障がいの人に対する適切な叱り方は次の通りです。
  • 感情的に叱らないこと
  • 叱る基準を明確にすること
  • なぜその行動が望ましくないのか理由を伝える
  • 叱るだけではなく具体的な改善方法を伝える

発達障がいの人が自分らしく成長するためにも、ぜひ適切な叱り方でそれをサポートしてみてください。