障がい者雇用のための助成金とは?概要から支給要件まで詳しくご紹介

トピックス 障がい者とシゴト 経営者向け 助成金

積極的に障がい者雇用に取り組んでいきたいけれど、採用や受け入れ環境を整えるための費用のことを考えるとなかなか一歩踏み出せないと悩んでいる経営者の方はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、障がい者雇用のための助成金について詳しく解説します。

障がい者雇用のための国の助成金とは?


2022年11月現在、障がい者雇用についての国の助成金は次のような場合に利用できます。
  • 障がい者を雇用した場合
  • 施設などの整備や適切な雇用管理措置を行った場合
  • 職業能力開発をした場合
  • 職場定着のための措置を行った場合

国の助成金を支給してほしい場合、障がい者雇用についてどのような措置を行ったかによってもらえる助成金の種類が異なるため、上記4つの場合にもらえる助成金についてそれぞれ見ていきましょう。
参考:厚生労働省「障害者を雇い入れた場合などの助成」

特定求職者雇用開発助成金


特定求職者雇用開発助成金は、障がい者雇用をした時にもらえる助成金で、「特定就職困難者コース」と「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」の2種類があるためそれぞれご紹介します。

特定就職困難者コース


特定就職困難者コースの概要、主な支給要件、支給額は次の通りです。
概要
  • 高齢者、障がい者などの就職困難者をハローワークなどの紹介により雇用保険の一般保険者として雇用した事業主が利用できる助成金

主な支給要件
  1. ハローワーク、地方運輸局、有料・無料職業紹介事業者の紹介で雇用すること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇用し継続雇用すること

支給額
  1. 短時間労働者以外で重度障がい者を除く身体・知的障がい者は最大2年間で120万円
  2. 短時間労働者以外の重度障がい者は最大3年間で240万円
  3. 短時間労働者で重度障がい者を含む身体・知的・精神障がい者は最大2年間で80万円

詳細な支給要件や支給額は、厚生労働省のホームページから確認をしてみてください。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース


発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの概要、主な支給要件、支給額は次の通りです。
概要
  • 発達障がい者や難病患者をハローワークなどの紹介により雇用保険の一般保険者として雇用した事業主が利用できる助成金

主な支給要件
  1. ハローワーク、地方運輸局、有料・無料職業紹介事業者の紹介で雇用すること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇用し継続雇用すること

支給額
  1. 短時間労働以外で中小企業の場合2年間で120万円
  2. 短時間労働以外で中小企業以外の場合1年間で50万円
  3. 短時間労働で中小企業の場合2年間で80万円
  4. ④ 短時間労働で中小企業以外の場合1年間で30万円

雇用した人に対する配慮事項の報告をする必要があり、雇用から6ヶ月後にハローワーク職員の職場訪問があることに注意しましょう。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」

トライアル雇用助成金


トライアル雇用助成金は障がい者を試行的に雇用した場合にもらえる助成金で、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2種類があるためそれぞれご紹介します。

障害者トライアルコースの概要、主な支給要件、支給額は次の通りです。
概要
  • 民間の職業紹介事業者などの紹介により、就職が困難な障がい者を一定の期間雇用することで適性などを見極め、障がい者の早期就職や雇用機会を創出することなどを目的とする

主な支給要件
  • 対象となる労働者をハローワーク、民間職業紹介事業者の紹介で雇用し、障害者トライアル雇用などの期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと

支給額
  1. 精神障がい者の場合月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)
  2. 精神障がい者以外の場合月額最大4万円(最長3か月間)


また障害者短時間トライアルコースの概要、主な支給要件、支給額は次の通りです。
概要
  • 継続雇用を目的に期間や週の労働時間の上限を定めて障がい者を試用的に雇用するのを目的とする

主な支給要件
  • 対象となる労働者をハローワーク、民間職業紹介事業者の紹介で雇用し3か月~12か月間の短時間トライアル雇用をすること

支給額
  • 支給対象者1人につき月額最大4万円

対象となる労働者の詳細は、それぞれ厚生労働省のホームページで確認してみましょう。
参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

障害者雇用納付金制度に基づく助成金


障害者雇用納付金制度に基づく助成金とは、障がい者雇用のために必要となる施設整備・設備の整備・雇用管理措置などを行った際にもらえる助成金で、次のような種類があります。
  • 障害者作業施設設置等助成金
  • 障害者福祉施設設置等助成金
  • 障害者介助等助成金
  • 職場適応援助者助成金
  • 重度障害者等通勤対策助成金

事業主に雇用される身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者、難病等患者、高次脳機能障害である労働者が対象となるため、詳細は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページから確認してみましょう。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「助成金」

人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)


人材開発支援助成金とは、障がい者の職業能力開発を行った際にもらえる助成金で、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者、高次脳機能障害の人、難治性疾患の人が対象となります。
助成金の対象となる障害者職業能力開発訓練事業の詳細や支給額については厚生労働省のホームページから確認してみてください。
参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」

キャリアアップ助成金


キャリアアップ助成金とは、障がいを持つ有期雇用労働者を正規雇用労働者か無期雇用労働者に転換する措置、無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する措置を行った際にもらえる助成金です。
支給対象期間は1年で、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者、難病患者、高次脳機能障がいの人が対象となるため、詳細や支給額についても知りたい人は厚生労働省のホームページから確認してみてください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」

障害者雇用のための地方自治体の助成金とは?


障がい者雇用を継続するためには、国だけではなく地方自治体の助成金活用も考えてみましょう。
例えば東京都の場合、「東京都中小企業障害者雇用支援助成金」があり、国の特定求職者雇用開発助成金の支給を受け、助成期間が満了となった後も引き続き雇用を継続する中小企業に対し助成金を支給しています。
助成金は国が支給するものと考えがちですが、地方自治体の助成金も検討することでさらに障害者雇用の拡大や促進を進めることができるでしょう。
参考:東京都TOKYOはたらくネット「東京都中小企業障害者雇用支援助成金」

まとめ


障がい者雇用のための助成金には国が支給するものと地方自治体が支給するものの2種類があり、どのような措置を行うかによって助成金の種類が異なります。
この記事も参考にして、ぜひ助成金を活用した障がい者雇用の促進に取り組んでみてください。