知的障がいの人と一緒に働く職場で配慮できることとは?配慮のポイントをご紹介

トピックス 障がい者とシゴト 合理的配慮 経営者向け

2021年に障害者差別解消法が改正され、知的障がい者の働く職場でも合理的配慮をするのが義務づけられたけれど、具体的に何から始めればよいのかよくわからず困っている人はいませんか?
この記事では、知的障がい者と同じ職場で働く人が理解しておきたい合理的配慮のポイントまで詳しく解説します。

障害者差別解消法の改正について


2021年の障害者差別解消法の改正では、障がい者、障がい児を対象とした不当な差別的取扱いが禁止され、合理的配慮をすることが義務付けられました。
そのため、事業者は雇用時や職場において、障がい者に対し必ず合理的配慮をする必要があります。
参考:e-GOV法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」

知的障がい者に対する職場における合理的配慮のポイント


知的障がい者に対する職場における合理的配慮のポイントを、募集と採用時、採用後の2つに分けてご紹介します。

募集と採用時


知的障がい者に対しては、募集や採用の時面接官との意思疎通に支障が生じる可能性があることと、障がい特性を会社側に正確に理解してもらう必要があることから、次のような合理的配慮をするのが望ましいでしょう。
項目概要
面接時就労支援機関の職員などの同席を認める
  • 本人ができることとできないことの説明、面接時の受け答えのフォロー、障がい特性や配慮事項などの説明を目的としてハローワーク職員、就労支援機関の職員などに同席してもらう
入社前説明会の実施
  • 本人、保護者、ハローワーク職員などを対象とする
職場見学や勤務内容の説明を実施
  • 本人、保護者、ハローワーク職員などを対象とする
書類への配慮
  • 雇入れ通知書、労働条件通知書、就業規則などにルビをふる

本人とのコミュニケーションを円滑にするだけではなく、本人を支援する人との信頼関係を築くための配慮も含めて考えることをおすすめします。

採用後


知的障がい者がスムーズに仕事を覚え、少しずつ職場になじめるようにするために、採用後は次のような配慮をするのが望ましいでしょう。
項目概要
業務指導や相談の担当者を決める
  • 担当者は管理者、同世代のチューター、定年退職後の再雇用社員、社内のジョブコーチ資格保有者などさまざまな人が考えられるが、本人が仕事をする上で支障となっていることを相談でき、解決に導くことのできる人を選任する
  • 定期面談を行ったり、連絡ノートを活用したりして報告・連絡・相談がしやすい環境を整える
本人の習熟度に応じて業務量を増やす
  • 仕事を始めた直後から多くの業務を担当することが本人にとって大きな負荷となる場合があるため、最初は業務量を少なくし日報や月報などの内容から本人とも相談の上で業務量を少しずつ増やしていく
  • 業務量を増やす時はジョブコーチや就労支援機関の職員とも相談する
障がい特性に合わせたマニュアルを準備する
  • 話し言葉、文章、図、動画など本人にとって理解しやすい表現でのマニュアルを作成し、説明内容をメモにとり覚えてもらう
  • 業務を間違えずにできているかどうかチェックシートを用いて確認する
体調に配慮する
  • 通院や服薬がスムーズにできるよう、出退勤時間や休憩、休暇について配慮する
  • 体調によって残業や夜勤を控えてもらう
周囲の人に障がいの内容や必要な配慮について理解してもらう
  • 本人のプライバシーを尊重した上で社内の人事担当者、本人の上司、関係部署の社員などに障がいの内容や必要な配慮について伝える
  • 就労支援機関や特別支援学校の職員とともに説明を行う
  • 知的障がい者の障害特性についての研修を行う

本人に対しては仕事や社会のルールを本人が理解しやすい方法で伝えるように配慮し、職場で関わる人に対しては障がいの内容や必要な配慮についてわかってもらえるよう働きかけましょう。
参考:内閣府「合理的配慮指針事例集」

知的障がい者に対する合理的配慮の事例について知りたい時は?


知的障がい者に対して職場で合理的配慮をする際、自社の状況と似た事例を参考にしたいという人も多いでしょう。
そのような時に役立つのが、内閣府のホームページに掲載されている「合理的配慮等具体例データ集 合理的配慮サーチ」です。
障がいの種別、生活の場面から事例を探すことができ、資料の目次や概要が記載されていることからニーズに合った事例を参考にすることができます。
参考:内閣府「合理的配慮等具体例データ集 合理的配慮サーチ」

まとめ


知的障がい者に対する職場における合理的配慮は、募集や採用時から始まり、採用後は就労支援機関の職員、ジョブコーチなど専門的知識を持つ人とも連携しながら本人と周囲の人双方に合った形で少しずつ進めていくのが望ましいでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ知的障がい者が生き生きと働いていける環境を整えてみてください。