発達障害者に対する仕事の教え方とは?参考となる事例の探し方もご紹介

トピックス 障がい者とシゴト 経営者向け

発達障がいを持つ新入社員が入社したので、これから仕事を教える必要があるけれど、どのような教え方をすればスムーズに仕事を覚えてもらえるのかいまいち理解できないと悩んでいる人はいませんか?
この記事では、発達障がい者に対する仕事の教え方から参考となる事例の調べ方まで詳しくご紹介します。

発達障がい者の仕事における特性


発達障がい者の仕事における特性とは、どのようなものなのでしょうか。
主な発達障がいの種類別に表にまとめてみました。
発達障害の種類特性
自閉スペクトラム症
  • 人への関心に偏りがある
  • 場の空気を読むことや暗黙のルールを理解しにくい
  • マルチタスクの場合優先順位がつけられない
  • 計画を立てるのが苦手
  • 予定変更が苦手
  • 感覚過敏がある人の場合光や音を苦痛に感じる
ADHD
  • 不注意による仕事のミスや忘れ物が多い
  • デスク周りの整理整頓ができない
  • 考える前に行動してしまい落ち着きがない
  • 順番を待てない
  • 過度に話す
LD
  • 話し方にまとまりがない
  • 話の要点が理解できない
  • 文書作成ができない
  • 計算、図形を描くこと、地図を読むことなどが苦手

発達障がい者に対する仕事の教え方を考える際は、まずこれらの特性について理解するようにしましょう。
参考:京都府「発達障害者と共にはたらくなるほどガイドブック」

発達障がい者の特性に合わせた仕事の教え方のポイント


発達障がい者の特性に合わせた仕事の教え方のポイントを表にまとめてみました。
発達障がいの種類特性仕事の教え方のポイント
自閉スペクトラム症マルチタスクの場合優先順位がつけられない複数の仕事を一度に教えず1つずつ理解してもらう
場の空気を読むことや暗黙のルールを理解しにくい
  • 仕事の指示では、指示の出し方としてこそあど言葉などの指示語を使わず、数値で具体的に説明する
  • 質問をしてよい人や時間帯を決めておく
  • 計画を立てるのが苦手
  • 予定変更が苦手
  • 1日のタイムスケジュールを示す
  • スモールステップで目標を定め見通しや達成感を持たせる
ADHD
  • 考える前に行動してしまい落ち着きがない
  • 過度に話す
パーテーションで区切る、耳栓を使ってもらうなどして仕事に集中できる環境を整える
不注意による仕事のミスや忘れ物が多いチェックリストなどを用いて確認できる体制を整える
LD話の要点が理解できない
  • マニュアルを自分が理解しやすい形に作りかえてもらう
  • マニュアルにはおおまかな指示だけではなく細かい指示も含める
  • 文書作成ができない
  • 計算、図形を描くこと、地図を読むことなどが苦手
ラベルや色分けで文書や仕事に使用する道具を見える化する

発達障がい者への仕事の教え方や指示の出し方の基本として、穏やかな口調で話すことを心がけましょう。
これは発達障がいの人の中に大きな音に対する感覚過敏を持つ人や、発達障がいの特性について周囲の人からの理解を得られず、大声で叱られた経験を持つ人などがいるため、恐怖心から仕事の内容を覚えられなかったり、指示の内容を実行できなくなったりしてしまうことがあるためです。
また、業務の内容に変更が生じた際は、次のような指示の出し方をしてみるのがおすすめです。
業務変更の内容指示の出し方
既存の仕事に別の仕事を割り込ませて対応してほしい時
  • 順番と期限を含めて指示を出す
  • 途中で止めた仕事は後からすればよいことを伝える
新しい業務を任せる時
  • それまで行っていた業務はどうするのか指示を出す
  • マニュアルを作成しチェック体制も整える
業務の進め方が変わった時
  • 業務の進め方が変わった理由を説明する
  • 新しい進め方で質問や困ったことがあった際に相談できる人と時間帯を決める
間違った業務の進め方を注意する時
  • 正しい進め方を説明する

変更後すぐに失敗なく業務を進めるのは難しい人もいますが、根気よく伝え続けてみましょう。
参考:京都府「発達障害者と共にはたらくなるほどガイドブック」

発達障がい者に対する仕事の教え方の参考事例が知りたい時は?


職場での発達障がい者に対する仕事の教え方を考える上で、何か参考になる事例を知りたい人もいるでしょう。
そのような場合、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページにある「障害者雇用事例リファレンスサービス」で事例検索をしてみましょう。
このサービスでは「モデル事例」「合理的配慮事例」の2つの種別、事業所の業種、障がいの種類、従業員規模などの条件を指定して事例検索ができるため、例えば「合理的配慮事例」「発達障がい」を条件に検索すると、採用後の合理的配慮として仕事の教え方が具体的に出てきます。
自社の業種や従業員規模ならではの工夫を知りたい人は、ぜひこのサービスを活用してみてください。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」

まとめ


発達障がい者の人への仕事の教え方を考える際は、まず障がい特性について理解することから始め、参考になる事例を含めて検討してから実践するのが望ましいでしょう。
この記事も参考に、発達障がいの人が気持ちよく仕事を覚えてくれるよう工夫をしてみてください。