家族が自閉スペクトラム症なので一生懸命支えてきたけれど、身体的にも精神的にも限界だと感じている人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、カサンドラ症候群の治療方法から相談窓口まで詳しく解説します。
カサンドラ症候群とは?
カサンドラ症候群とは自閉スペクトラム症の人とコミュニケーションがうまく取れず、そのストレスから心身に不調をきたすことで、DSM-5などで正式に定義づけられた疾患名ではありません。
イギリスの心理療法家マクシーン・アストンは、カサンドラ症候群には次の3つの要素があるとしました。
- パートナー関係の片方または両方に自分の感情を自覚、表現するのが苦手で想像力、空想力に欠ける傾向がある
- パートナーとの関係において微妙な感情の変化に基づいた交流の少なさがきっかけとなった激しい対立関係、精神や身体的な虐待、人間関係の満足度低下がある
- 精神的、また身体的な不調や症状がある
またカサンドラ症候群の名づけ親の心理療法家ローリー・レイトン・シャピラは、これに加えて次の要素があるとしました。
- 上記の事実を周囲の人に伝えても理解したり信じたりしてもらえない
夫婦、母子など自閉スペクトラム症の人の家族が発症することが多いですが、職場の上司と部下、先生と生徒、友人間でも発症する人がいます。
カサンドラ症候群の症状
カサンドラ症候群の人には具体的にどんな症状が現れるのでしょうか。
精神的な症状と身体的な症状にわけてご紹介します。
症状の種類 | 概要 |
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精神的な症状 |
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身体的な障がい |
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インターネットではカサンドラ症候群のセルフチェックや診断テストも行うことができますが、上記のような症状が出たら自己判断せずまずは精神科や心療内科に受診しましょう。
カサンドラ症候群の治療方法
カサンドラ症候群と診断された人には、どのような治療が行われるのでしょうか。
医療機関を受診した場合、まずはカサンドラ症候群による精神的な症状と身体的な症状に対する治療として認知行動療法や薬物療法が行われるでしょう。
しかし、これらは症状に対する対症療法なので、カサンドラ症候群から抜け出すためには、次のような対処方法を少しずつ身に着けていくことが大切です。
- 自閉スペクトラム症の特性や対応方法についての知識を持つ
- 自閉スペクトラム症の人との生活やコミュニケーションのルールを決める
- つかず離れずの距離感を維持するようにする
- 相談できる第三者とのつながりを作る
相談できる第三者の1つに自助グループがあり、抱える課題に対する思いや悩みを当事者同士で分かち合うことができますが、次のようなメリット・デメリットがあることを覚えておきましょう。
項目 | 概要 |
---|---|
メリット |
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デメリット |
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まずは医療機関で受診し、自分の症状に合った治療方法や対処方法を探していくことが大切です。
カサンドラ症候群についての相談窓口
カサンドラ症候群についてまずは相談をしてみたいという気持ちになった人に足を運んでほしいのが、地域の発達障害者支援センターです。
発達障害者支援センターはそもそも、発達障がい者、発達障がい児とその家族が豊かな地域生活を送ることを目的として、保険・医療・福祉・教育・労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを作りながら発達障がい者、発達障がい児とその家族のさまざまな相談への指導や助言を行うための機関です。
そのため自閉スペクトラム症の人の家族がカサンドラ症候群となった場合、その相談を受け、専門家がその知識や経験を活かして解決への道を一緒に模索してくれるのです。
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センターのホームページには、地域の発達障害者支援センターの連絡先一覧とともにホームページへのリンクが掲載されているので、自分の住まいに近い発達障害者支援センターを探すことから始めてみましょう。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「発達障害者支援センター・一覧」
まとめ
カサンドラ症候群とは自閉スペクトラム症の人とコミュニケーションがうまく取れず、そのストレスからさまざまな精神的症状、身体的症状が現れますが、DSM-5などで正式に定義づけられた疾患名ではありません。
この記事も参考にして、ぜひカサンドラ症候群への理解を深めてみてください。