障がい者の移動を支援するサービスとは?対象者や支援の範囲を詳しく解説

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家族に障がい者がいるけれど自分1人で外出するのが難しいので、何か利用できるサービスはないか探している人はいませんか?
この記事では障がい者の移動を支援するサービスについて詳しく解説します。

障がい者の移動を支援するサービスとは?


障がい者の移動を支援するサービスは、障害者総合支援法に基づいて実施される次の5種類があります。
支援の種類サービスの種類概要
自立支援給付居宅介護通院のための移動介助などを含む
重度訪問介護外出時における移動中の介護を含む
同行援護視覚障がいにより移動に著しい困難がある人に移動に必要な情報提供や外出支援を行う
行動援護自己判断能力が制限されている人が行動する際危険を回避するために必要な外出支援を行う
地域生活支援事業移動支援社会生活上不可欠な外出や社会参加のための外出を支援する

それぞれのサービスごとに対象者や移動の目的、支援の範囲がどのように異なるのかを見ていきましょう。
参考:e-Gov法令検索「障害者総合支援法」
参考:全国社会福祉協議会「障害福祉サービスの利用について」

居宅介護


居宅介護の対象者や移動の目的、支援の範囲は次の通りです。
対象者移動の目的支援の範囲
  • 身体障がい、知的障がい、精神障がいを持つ障がい者・障がい児
  • 障害支援区分1以上
  • 病院などへの通院
  • 官公署での公的手続き
  • 障害者総合支援法に基づくサービスを受けるための相談をする時の移動介助
  • 外出時における病院などへの通院のための移動介助
  • 屋内外における移動などの介助
  • 通院先での受診手続きや移動介助

居宅介護は身体介護、生活援助などを行うサービスですが、その中の一部に移動を支援するサービスが含まれているため、移動の目的やできること、できないことをよく確認しておくのが望ましいでしょう。

重度訪問介護


重度訪問介護の対象者や移動の目的、支援の範囲は次の通りです。
対象者移動の目的支援の範囲
  • 肢体不自由、知的障がい、精神障がいを持つ障がい者
  • 障害支援区分4以上で次の2つのうちいずれかに当てはまる人
    ①二肢以上に麻痺などがあり、障害支援区分調査項目のうち「歩行」、「移乗」、「排尿」、 「排便」のい ずれもが「支援が不要」以外に認定されている人
    ②障害支援区分認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点 数が10点以上の人
  • 社会生活上必要不可欠な外出
  • 社会参加のための外出
  • 通勤、営業活動などの経済活動のための外出、通年で長期にわたる外出、社会通念上適当でない外出を除く
  • 外出時における移動中の介護

重度訪問介護は対象となる障害支援区分、移動の目的などに細かな指定があるためまず対象者であるかどうかの確認から始めることをおすすめします。

同行援護


同行援護の対象者や移動の目的、支援の範囲は次の通りです。
対象者移動の目的支援の範囲
  • 重度の視覚障がいを持つ障がい者、障がい児
  • 身体介護なしの場合、同行援護アセスメント票の基準を満たす人
  • 身体介護ありの場合、次の3つを満たす人
    ①同行援護アセスメント票の基準を満たす
    ②障害支援区分2以上
    ③障害支援区分調査項目のうち「歩行」 について「全面的な支援が必要」に認 定されているか「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれかが「支援が不要」以外に認定されている
  • 社会生活上必要不可欠な外出
  • 社会参加のための外出
  • 通勤、営業活動などの経済活動のための外出、通年で長期にわたる外出、社会通念上適当でない外出を除く
  • 外出に必要な情報提供
  • 移動の援護、排泄、食事の介護
  • その他外出に必要な援助

同行援護は視覚障がいを持つ障がい者、障がい児でなければサービスを利用できないことに注意しましょう。

行動援護


行動援護の対象者や移動の目的、支援の範囲は次の通りです。
対象者移動の目的支援の範囲
  • 重度の知的障がい・精神障がいを持つ障がい者、障がい児
  • 社会生活上必要不可欠な外出
  • 社会参加のための外出
  • 通勤、営業活動などの経済活動のための外出、通年で長期にわたる外出、社会通念上適当でない外出を除く
  • 行動する時に生じる危険を回避するために必要な援護
  • 移動中の介護
  • 外出前後に行われる衣服の着脱など
  • 排泄・食事など行動する時に必要な介護

外出時の危険回避が支援として含まれるというのが、他の移動支援と異なる大きな特徴だと言えるでしょう。

移動支援


移動支援の対象者や移動の目的、支援の範囲は次の通りです。
対象者移動の目的支援の範囲
  • 障がい者などで市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた人
  • 社会生活上必要不可欠な外出
  • 余暇活動など社会参加のための外出
  • 個別支援型、グループ支援型、車両移送型がある

障がい者の個々のニーズや状況に応じた柔軟な支援を目的としているため、他のサービスと比較すると対象者や支援の範囲が広いのが特徴的だと言えるでしょう。
参考:厚生労働省「障害者等の移動の支援について」

障がい者の移動を支援するサービスにおける利用者負担について


障がい者の移動を支援するサービスは障害者総合支援法に基づいて実施されるため、利用者負担には所得に応じた次の4区分で負担上限月額が定められています。
区分世帯の収入の状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記3区分以外37,200円

これらの金額は1か月に使用したサービス量にかかわらず適用されることを覚えておきましょう。
参考:全国社会福祉協議会「障害福祉サービスの利用について」

まとめ


障がい者の移動を支援するサービスは、障害者総合支援法に基づいて実施される居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、移動支援の5種類があり、それぞれ対象者や移動の目的、支援の範囲が異なります。
ニーズに合ったサービスを利用して、障がい者本人がスムーズに外出できるようサポートしてみてください。