毎年、12月3日から12月9日までの1週間が、「障がい者週間」と定められていることをご存じでしょうか?この障がい者週間は、2004年の障害者基本法の改正によって作られました。
日本では、障がい者週間に合わせて、国や関係団体がさまざまな取り組みを行っています。
今回は、障がい者週間の成り立ちや意味、そしてどのような取り組みが行われているかを紹介します。
障がい者週間とは
元々日本では、12月9日を「障がい者の日」と定めていました。その後、2004年6月の障害者基本法の改正により、「障がい者の日」から「障がい者週間」へとバージョンアップしたのです。
世界では12月3日が「国際障がい者デー」と定められていたので、法改正をきっかけに12月3日から12月9日までの1週間を「障がい者週間」として設定しました。
国際障がい者デーと障がい者の日とは?
1982年12月3日に、国連総会で「障がい者に関する世界行動計画」が採択されました。これを記念して、1992年第47回国連総会で、12月3日を「国際障がい者デー」とすることが宣言されました。
一方、12月9日は、1975年に「障がい者の権利宣言」が国連総会で採択された日です。国際障がい者年を記念して、1981年に国際障害者年推進本部が、12月9日を「障がい者の日」とすることに決定しました。
その後、日本では1993年11月に心身障がい者対策基本法が障がい者基本法に改められた際に、12月9日を「障がい者の日」とすることが法律にも規定されました。
そして、2004年の障がい者基本法の改正によって、 12月3日の「国際障がい者デー」と12月9日の「障がい者の日」は、「障がい者週間」へと拡大されたのです。
障がい者週間の内容は、障がい者基本法第9条に以下のように記述されています。
第9条
1 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。
2 障害者週間は、12月3日から12月9日までの1週間とする。
3 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。
また、「障がい者週間」の目的は、
・国民の間に広く障がい者への理解を深める
・障がい者福祉に対する関心も持ってもらう
・障がい者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に、積極的に参加する意欲を高める
といったことが挙げられます。
実際、「障がい者週間」の期間を中心に、国、地方公共団体、関係団体等が、さまざまな意識啓発や障がい者に関わるイベントを実施しています。
障がい者週間の主な取り組み
日本では、12月3日から12月9日までの「障がい者週間」を中心に、さまざまな取り組みが行われています。大きく分けると「国主催行事」「関係機関・団体主催行事」「都道府県・指定都市主催行事」があります。
たとえば国主催行事では、障がい者週間に合わせて、
・障がい者セミナー
・障がい者ワークショップ
・障がい者週間作品展
などを実施しています。
障がい者週間作品展では、全国から公募した「障がい者週間のポスター」の全推薦作品の原画及び「心の輪を広げる体験作文」の最優秀賞作品等を展示しています。
障がい者週間のポスター募集
多くの自治体が夏から秋頃にかけて、障がい者週間をあらわしたポスターの募集をします。障がい者週間のポスターのテーマは「障がいの有無にかかわらず誰もが能力を発揮して安全に安心して生活できる社会の実現」です。
応募資格は「小学生および中学生」です。ポスターが都道府県または指定都市から内閣府に推薦されると、区分ごとに最優秀賞、優秀賞が1編、佳作が5編選ばれます。
心の輪を広げる体験作文
ポスターと一緒に、障がい者とのふれあいに関する体験作文も募集されます。
体験作文のテーマは「出会い、ふれあい、心の輪 -障害のある人とない人との心のふれあい体験を広げよう-」。障がいのない人と、障がいのある人が関わった実体験が求められます。もちろん障がいのない方だけではなく、障がいのある方も、健常者との出会いや気づきを書いた作品を応募できます。
応募資格は「小学生以上」であり、三つの区分が設けられています。
・小学生区分
・中学生区分
・高校生区分および一般区分
400字詰め原稿用紙で、小学生区分・中学生区分は2~4枚程度、高校生および一般区分は4~6枚程度となっています。入賞は最優秀賞1編、優秀賞3編、佳作5編程度が選ばれます。
他にも、たとえば島根県では、障害者週間に合わせて県立施設の無料開放を行っています。
(参考)障害者週間における県立施設等の無料開放・入場料減免と関連事業
https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/syougai/ippan/syougaishashuukan/
その他、2021年度の障害者週間に関する取り組みはこちらからご覧になれます。
https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r03shukan/main.html
まとめ
障がい者週間は、日本国民に広く障がい者福祉について関心や理解を深めてもらうこと、そして障がい者に社会、文化、経済など色々な分野で積極的に参加できる意欲を高めてもらうための週間です。
障がい者週間には、セミナー、作文、ポスターなどがイベントとして開催されているので、ぜひ参加してみてください。