通常の就職活動の流れについてはインターネットで調べて理解できたけれど、障がいを持っている場合どのようなことに気を付けて就職活動を行えばよいのかよくわからないと悩んでいる人はいませんか?
この記事では障がい者における就職の現状から就職活動において気を付けたいポイントまで詳しく解説します。
障がい者における就職の現状とは?
障がい者における就職の現状とはどのようなものなのでしょうか。
2021年に厚生労働省が発表した「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」によると、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の雇用状況は次の表の通りでした。
事業主の種類 | 雇用障がい者数 | 実雇用率 | 法定雇用率 |
---|---|---|---|
民間企業 | 59万7,786人(57万8292人) | 2.20%(2.15%) | 2.3% |
国 | 9,605人(9,336人) | 2.83%(2.83%) | 2.6% |
都道府県 | 1万143.5人(9,699.5人) | 2.81%(2.73%) | 2.6% |
市町村 | 3万3,369.5人(3万1,424人) | 2.51%(2.41%) | 2.6% |
教育委員会 | 1万6,106.5人(1万4,956.0人) | 2.21%(2.05%) | 2.5% |
独立行政法人など | 1万2,244.5人(1万1,759.5人) | 2.69%(2.64%) | 2.5% |
※()は前年の値
前年より雇用障がい者数、実雇用率とも上昇しているため、少しずつ障がい者の雇用が進んでいる面もありますが、民間企業における法定雇用率達成企業の割合は47%で前年と比較すると1.6%低下しているのです。
このことから民間企業においては障がい者の雇用に熱心な企業とそうではない企業が二極化してきている現状がうかがえます。
参考:厚生労働省「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」
障がい者が就職活動で気を付けたいポイント
障がい者の場合、どのようなポイントに気を付けて就職活動を行えばよいのでしょうか。
3つご紹介します。
就職活動をするタイミングに気を付ける
障がい者の場合、就職活動をするタイミングは4月入社に向けた「2~3月」、6月入社に向けた「4~5月」12月入社に向けた「10~11月」が望ましいとされますが、なぜこの時期に求人が増加し、採用活動が活発化するのでしょう。
それぞれの入社時期にわけて説明します。
4月入社
4月入社に向けて企業が採用活動を活発化させる理由は次の3つです。
- 年度の切り替え時に新規事業やプロジェクトの立ち上げを行い増員が必要となるため
- 3月は退職者が増えその分の人員補充が必要となるため
- 新入社員と中途採用を同時にすることで研修や教育を一度に済ませられるため
このことから4月は企業が人員を広く補充したいタイミングであると言えるでしょう。
6月入社
6月入社に向けて企業が採用活動を活発化させる理由は、障害者雇用促進法に基づいて毎年6月1日現在の高年齢者および障がい者の雇用状況をハローワークに報告しなければならないためです。
これをロクイチ報告と呼び、一定の基準に満たない場合は次のような手続きが企業に命じられます。
- 障害者雇入れ計画の作成と提出を求められ、提出後に適正実施勧告や特別指導が行われる
- 障害者雇入れ計画提出後も実雇用率が低い場合企業名が公表される
- 障がい者雇用数が未達成の場合不足人数1名につき月額5万円、年額60万円の障害者雇用納付金を支払う必要がある
このことから6月は企業が障がい者を積極的に採用したいタイミングであると言えるでしょう。
12月入社
12月入社に向けて企業が採用活動を活発化させる理由は、前項目でご紹介した適正実施勧告が行われるためです。
ここで障がい者雇用数が未達成の場合、法定雇用率を達成していない企業として企業名が公表されるので、企業のイメージを損ねないため採用活動を活発化させるのです。
このことから12月も企業が障がい者を積極的に採用したいタイミングであると言えるでしょう。
障がい者枠と一般枠のどちらで就職するかを選ぶ必要がある
ハローワークの求人には障がい者枠と一般枠の2種類があり、障がい者枠への応募は障害者手帳の所持が必要となります。
この2種類の枠それぞれで応募するメリットとデメリットを表にまとめてみました。
メリット | デメリット | |
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障がい者枠 |
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一般枠 |
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自分が何を大切にして働いていきたいかを考え、障がい者枠か一般枠を選びましょう。
ナビゲーションブックを作成する
ナビゲーションブックとは障害者職業総合センターが推奨する、就職活動や職場定着を円滑に進めるためのツールですが、障がい者がこれを面接時に適切に活用することで履歴書や職務経歴書だけでは伝えきれない自分の障がい特性や個性を理解してもらいやすくなります。
ナビゲーションブックには次のようなメリットがあります。
- 面接官が質問しにくいことや障がい者が口頭では伝えにくい内容を含められるのでコミュニケーションがスムーズになる
- 面接時に自己分析ができていることのアピールになる
- 配属時や移動時にも周囲の人に自分を理解してもらうためのツールとして使える
ナビゲーションブックはインターネットで検索すると書き方解説つきのテンプレートがたくさん出てくるため、興味のある人はまず目を通してみましょう。
まとめ
障がい者の就職については、雇用に熱心な企業とそうではない企業が二極化してきている現状がありますが、タイミングを押さえた就職活動や、ナビゲーションブックなどを作成することで自分の希望する先へ就職しやすくなるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ自分に合った働き方を見つけてみてください。