保育所等訪問支援とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 保育所等訪問支援

保育所等訪問支援とは、指導員が保育所などを訪問し、子どもが集団生活ができるよう支援するサービスのことです。
この記事では、保育所等訪問支援法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。保育所等訪問支援を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

保育所等訪問支援とは


保育所等訪問支援の法律定義


保育所等訪問支援は児童福祉法に基づくもので、「保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援を行う」と定義されています。

保育所等訪問支援を利用できる対象


保育所等訪問支援を利用できる対象は、
18歳未満の障害児で、
・保育所
・幼稚園
・認定こども園
・小学校
・特別支援学校
・その他児童が集団生活を営む施設として地方自治体が認めたもの
などに通う障害のある児童で、その施設を訪問して専門的な支援が必要と認められた場合に保育所等訪問支援を利用することができます。

保育所等訪問支援は、指導員が対象の障害児が通う、集団生活を営む施設を訪問できるサービス


障害や発達に課題がある子どもにとって、集団生活はさまざまな負担を感じやすいものです。
登園や通学を本人が不安や負担を感じることなく行うためには、通う先のスタッフの理解や環境づくりがかかせません。
保育所等訪問支援では、指導員が直接対象の児童が通う施設へ訪問し、助言や指導を行うことができるため本人に適した環境づくりを行うことができます。

保育所等訪問支援のサービス内容


保育所等訪問支援では、対象児童や訪問先の状況などに応じて、月に1、2回程度行われます。
1回の訪問時間は、30分から2時間程度です(指導内容などによって異なります)。
保育所等訪問支援は、訪問先での生活や教育に差し障りがないように、指導員が十分な配慮を行いながら集団生活に加わって行います。
保育所等訪問支援では、①子どもに対して②訪問先の現場に対して③保護者に対して、それぞれ助言などを行います。

①子どもに対して
子どもに対しては、発達の気になる・遅れがある子に対し、定型発達の子がその特性を理解できるようにします。
それによって、発達の気になる・遅れがある子への理解ができ偏見もなくなることで、子ども同士の共存社会を築くことができます。

②訪問先の現場に対して
現場の保育士・スタッフ・先生などに対しては、対象児の発達面からの関わり方の教示や、対象児が安心してすごせる環境づくり、情報の共有を行います。
それによって、障害や特性を理解することにつながり、対象児に適した環境を作ることができます。
現場の職員も療育や発達支援の視点をもつことができ、対象児と関われるようになることが期待できます。

③保護者に対して
保育所等訪問支援の内容や、対象児がまわりの子供達、保育士・先生・スタッフなどとどのように関わっているかといった様子を伝えます。
また、保護者が集団生活で感じている不安や悩み、希望などをアセスメントし、今後の対応策へとつなげます。

保育所等訪問支援を利用すると、どのようなことが期待できる?


障害のある子どもや、その保護者は次のような悩みや不安を抱えていることが少なくありません。

・幼稚園や学校などの活動や行事にうまく参加できない
・お友達とうまく関われない
・学習にうまく取り組めない
・進学先の新しい環境に慣れることがができるか心配 など

保育所等訪問支援では、このような子どもや保護者がもつ悩みや不安が解決できるよう、具体的な支援を行っていきます。

子どもや保護者がもつ悩みと、それに対する保護者等訪問支援のサービス例をご紹介します。

悩み1.子どもが活動に参加できない


障害をもつ子どもは、自分の状態をなかなか伝えることができず、集団活動の中で混乱したり、状態が悪くなることがあります。
保育所等訪問支援では、自分の状態を相手に伝える訓練を行ったり、現場の職員が活動内容を視覚的に理解できるようにするなどすることで、活動に参加できるように支援します。

悩み2.子どもがお友達や周りの人とうまく関わることができない


障害をもつ子どもは、他者との関わり方が不十分であったり、自分の気持ちをコントロールできずトラブルを起こしてしまうことがあります。
保育所等訪問支援では、遊びのルールをわかりやすくしたり、他者との関わり方を学ぶなどし、さらに気持ちがクールダウンできるような環境づくりを行うなど、落ち着いて他者と関われるよう支援します。

悩み3.子どもが学習に取り組めない


障害をもつ子どもは、まわりの環境に刺激をうけやすく、席について授業を聞けないなどの場合があります。
保育所等訪問支援では、本人が集中しやすい環境づくりを整えることで学習しやすい状態になるよう支援します。

悩み4.進学先でうまく新しい環境になじめるか不安


幼稚園・保育園から小学校へなど、環境の変化がある場合、本人の状態と支援方法などについてまとめたサポートブック制作などを支援します。
サポートブックなどがあることで、進学先でも本人が安心できるような対応や、本人に合った環境を得られるようになります。

以上の例以外にも、保育所等訪問支援では、子どもや保護者それぞれの悩みや不安を解決できるように、様々な支援を行っています。

保育所等訪問支援で気になること


保育所等訪問支援を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


保育所等訪問支援は、障害児給付費の対象となります。
受給者証を取得して保育所等訪問支援を利用すると、利用料の9割が国や自治体から給付されるため、1割を利用者が負担します。
保育所等訪問支援を利用した1回ごとにサービス費を負担しますが、前年度の所得によって一か月に保護者が負担する上限は設定されているため、その金額以上の負担はありません。
ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。

利用回数は?


保育所等訪問支援は、2週間に1回程度を目安に行われます。

利用期間は?


保育所等訪問支援は、利用期間は3か月を目安としています。必要に応じて延長される場合があります。

事業を行っているのはどんなところ?


保育所等訪問支援を行う事業所は、医療法人、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。

どんなスタッフがいる?


保育所等訪問支援を行う事業所には、管理者、児童発達支援管理責任者、訪問支援員がいます。
訪問支援員は、障害児支援に関する知識と経験を有する児童指導員または保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職です。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

保育所等訪問支援はどうやって利用したらいい?


保育所等訪問支援を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
保育所等訪問支援を利用するには、以下の手続きを行う必要があります。

①市町村の障害福祉窓口に相談する
各自治体の障害福祉課などに「保育所等訪問支援を受けたい」と相談をします。

②利用申請
保育所等訪問支援を利用するための申請を行います。

③利用計画の作成
相談支援事業所で「障害児支援利用計画案」の作成を行います。

④受給者証の発行
③の書類が完成すると、市区町村から「受給者証(支給決定)」が発行され、自宅に郵送されます。

⑤保育所等訪問支援との契約
受給者証を受け取ったら、保育所等訪問支援事業所と契約し、保育所等訪問支援が開始されます。

保育所等訪問支援を選ぶポイント


保育所等訪問支援を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色、どんな職員がいるか確認しておきましょう。
保育所等訪問支援では、専門的な助言を必要とすることが多く、訪問支援員は障害や特性に関する知識と他機関との連携方法を熟知していることが望ましいです。
どのような指導助言方法を行っているか確認しておくとよいでしょう。
さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
保育所等訪問支援事業所には、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所等なども併設しているなど支援環境が整っているところもあります。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、子どもの発達を伸ばすことができる保育所等訪問支援を選んでいただければ幸いです。