福祉型障害児入所施設とは、障害のある児童が施設に入所して、保護、日常生活の指導、独立自活に必要な知識や技能を受けることができる施設です。
この記事では、福祉型障害児入所施設の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。福祉型障害児入所施設を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

福祉型障害児入所施設とは

福祉型障害児入所施設の法律定義

福祉型障害児入所施設は、児童福祉法で「障がいのある児童のための施設（入所）で、児童の保護、日常生活の指導、知識技能の付与等を行う」と定義されています。

福祉型障害児入所施設は
・身体障害
・知的障害
・精神障害（発達障害を含む）
のある児童が入所することができ、福祉サービスを受けることができます。

福祉型障害児入所施設に入所する理由

福祉型障害児入所施設を利用する理由は主に、本人の事情、家族の事情といったものがあります。

本人の状況により入所が適しているとされた場合

障害のある子どもが、施設で日常生活動作などの訓練が必要であったり、本人の行動上の問題で入所してでの対応が必要ととされたなどです。

家庭の事情による場合

保護者が病気で本人のケアを行うことができない、家族の経済的理由、保護者の養育能力がない、本人が家族から虐待を受けているなど家庭のさまざまな事情が入所理由となる場合があります。

福祉型障害児入所施設ではどのようなサービスを受けられる？

福祉型障害児入所施設では、入所した児童に以下のような支援を行っています。

入所した児童の保護

入所した児童が、安全で安心な生活を送ることができる環境づくりを行っています。

介護サービス

食事、排泄、更衣、入浴など日常生活での介護サービスを行います。

機能訓練

身体面・日常生活面での能力が維持・向上できるような訓練を行います。

社会的活動参加への支援

レクレーション活動などを通して、他者との交流の場を作るなど社会活動への参加を支援します。

コミュニケーション支援

「聞く」「話す」という言語でのコミュニケーションや、しぐさなどで他者とコミュニケーションができるように支援を行います。

相談・助言

施設生活を送る中での相談や、家族からの相談を受け付け、助言などを行います。

他サービス利用への支援

福祉型障害児入所施設では、入所している子どもが18歳（20歳のこともある）を迎えた際に
他のサービスへ移行する支援を行います。

地域社会との連携

入所している子どもが、地域社会で生活を送る事ができるよう支援したり、他機関と連携をとるなどしています。

福祉型障害児入所施設での1日の過ごし方は？

起床後、朝食をとり検温健康観を行った後、それぞれ支援学校などへ送迎で登校します。
学校から送迎で下校すると、おやつや学習支援、余暇支援、自由時間をしてすごし夕食後に入浴支援を受けます。
その後余暇支援や自由時間のあと、消灯となります。

福祉型障害児入所施設の役割

福祉型障害児入所施設の役割としては、

①家庭としての役割
入所児童にとって福祉型障害児入所施設が第2の家庭となるよう、育ちの支援や愛着関係形成の支援を行います。
②発達の支援
入所児童それぞれの発達が進むことができるよう支援を行います。
③進路支援
入所児童が将来社会参加できるように、進路の支援を行います。
などがあります。

18歳を迎える入所児への対応

障害のある子どもは18歳になると、適応される法令が児童福祉法から障害者総合支援法へとかわり、福祉型障害児入所施設を退所することとなります。
しかし、18歳を迎えるからといって急に退所させるといった状況は避けなければなりません。
障害児にとって、生活環境が変わることは、身体的にも精神的にも大きな負担がかかるからです。
そのため、福祉型障害児入所施設では、次の２つの対応がとられています。

① 自立を目指した支援
入所児童が施設を退所した後、地域生活へ移行できるよう自立に向けた支援を行います。
② 施設の移行
福祉型障害児入所施設が18歳以上対応の障害者向け施設を併設し、移行できるようにする。

福祉型障害児入所施設の利用対象者の条件

福祉型障害児入所施設を利用できるのは、
①身体障害・知的障害・精神障害（発達障害）のある18歳未満の児童
②①に該当する児童で、児童相談所、市町村保険センター・医師などから「療育」を受ける必要があると認められた児童
です。
福祉型障害児入所施設サービスでは、身体障害手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳を取得していない場合でも利用できます。

こんな方におすすめ！福祉型障害児入所施設のメリット

福祉型障害児入所施設に入所した場合、様々なメリットがあります。

①必要なケアを受けることができる

福祉型障害児入所施設では、入所児童に食事、排泄、入浴など本人の基本的生活習慣の自立を目指しながら必要なケアをおこなっています。

②様々な行事があり、楽しむことができる

福祉型障害児入所施設では、施設によってさまざまな行事があります。
田植え、芋ほり、プール、キャンプなど季節を感じられる行事の他、地域の人との交流会などを行っている施設もあります。
行事に楽しく参加することで他者との関わり方を学び、地域での生活を送ることができます。

③いつでも相談にのってくれる

福祉型障害児入所施設では入所児童の悩みや、家族からの相談いいつでも対応してくれるため安心した生活をおくることができます。

福祉型障害児入所施設で気になること

実際に福祉型障害児入所施設を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は？

福祉型障害児入所施設は、障害児入所給費の対象となります。
受給者証を取得し、福祉型障害児入所施設を利用すると、利用料の9割が国や自治体から給付されるため、1割を利用者が負担します。
福祉型障害児入所施設を利用した日数分を支払いますが、前年度の所得によって一か月に保護者が負担する上限は設定されているため、その金額以上の負担はありません。
ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料～一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。
福祉型障害児入所施設では、その他に実費として食費や光熱費などがかかります。

福祉型障害児入所施設の利用期間は？

福祉型障害児入所施設を利用できるのは、満18歳までです。
利用期間に制限はありません。

事業を行っているのはどんなところ？

福祉型障害児入所施設の事業所は、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。

どんなスタッフがいる？

福祉型障害児入所施設を行う事業所には、管理者、嘱託医、看護職員（看護師、准看護師、保健師、助産師）、児童指導員、保育士、栄養士、調理員、心理指導担当職員、職業指導員などがいます。施設の種類により、スタッフの内容は異なります。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

施設の設備内容は？

福祉型障害児入所施設では、児童の居室、調理室、医務室及び静養室、浴室、便所などがあります。

福祉型障害児入所施設はどうやって利用したらいい？

福祉型障害児入所施設を利用したい場合の手続きについてご紹介します。

福祉型障害児入所施設に入所希望の場合は「入所受給者証」が必要です。
「入所受給者証」の申請は、「通所受給証」申請と異なり、児童センターや児童相談所で行うこととなっています。

①相談
入所を希望する児童が住む市区町村にある児童センターや児童相談所に、福祉型障害児入所施設入所をしたいことを相談します。
福祉型障害児入所施設の一覧やパンフレット、インターネット検索などで希望の福祉型障害児入所施設を探しましょう。

②福祉型障害児入所施設に相談
入所したい福祉型障害児入所施設が決まったら、施設に相談し見学や体験などを行います

③児童相談所に利用申請、調査を受ける
児童相談所に福祉型障害児入所施設入所する申請を行い、入所を希望する児童の障害の種類・程度の調査を受けます。

④「入所受給者証」の交付・障害児支援利用計画の作成
支給が決定されると、福祉型障害児入所施設の入所の場合は、「入所受給者証」が交付され、障害児支援利用計画を作成します。

⑤福祉型障害児入所施設との契約
希望する福祉型障害児入所施設に「入所受給者証」を掲示して、入所の申し込みをし契約を結びます。

⑥サービス利用開始
福祉型障害児入所施設でのサービス利用が開始されます。

福祉型障害児入所施設を選ぶポイント

福祉型障害児入所施設を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色、どんな職員がいるか、訓練内容にはどのようなものがあるかなどを確認するとよいでしょう。
実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学や体験入所などが可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。
福祉型障害児入所施設は、長期間子どもがすごす生活の場です。安全性や本人にとってすごしやすい環境であるかを考えて選ぶことをおすすめします。また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、実際すごしている子どもたちの様子はどうかなど、実際に事業所の見学や訪問を通して感じることも大切です。
さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、子どもが安心した生活を送ることができる福祉型障害児入所施設を選んでいただければ幸いです。