医療型障害児入所施設とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 医療型障害児入所施設

医療型障害児入所施設とは、入院による医療が必要な、肢体不自由のある児童、重度の知的障害及び身体障害が重複している児童、自閉症の児童が利用できる施設です。
この記事では、医療型障害児入所施設の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。医療型障害児入所施設を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

医療型障害児入所施設とは


福祉型障害児入所施設の法律定義


医療型障害児入所施設は、児童福祉法で「障がいのある児童のための児童福祉施設(入所)で、児童の保護、日常生活の指導、知識技能の付与等の他治療を行う」と定義されています。

医療型障害児入所施設は、児童福祉法に基づく児童福祉施設で、
入院による治療が必要な
・肢体不自由の児童(肢体不自由児)
・重度の知的障害及び身体障害が重複している児童(重症心身障害児)
・自閉症の児童
以上の児童が入所することができ、福祉サービスを受けることができます。

医療型障害児入所施設に入所する理由


医療型障害児入所施設を利用する理由は主に、
・疾病の治療や看護
・医学的管理のもとで行われる介護
・日常生活能力の維持・向上のための訓練
が必要であるとなった場合です。

医療型障害児入所施設は医療が必要な障害児が対象


医療型障害児入所施設は、福祉型障害児入所施設と異なり、入院による医療とケアが必要な障害児が入所する施設です。

医療型障害児入所施設のサービス内容


医療型障害児入所施設では、入所した児童に以下のような支援を行っています。
医療型障害児入所施設での支援は、医療面でのケアを中心に児童が生活を楽しめるようなサービスを行っています。

疾病の治療・看護


医療型障害児入所施設には、医師や看護師など医療職が多く勤務しており、入所児童の疾病の治療や看護を行っています。

日常生活能力の維持・向上のための訓練


理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などリハビリの専門職による日常生活動作の訓練を行います。

コミュニケーション支援


「聞く」「話す」「しぐさ」などコミュニケーション技法の訓練を行います。
またレクレーション活動などを通して、他者との交流の場を作るなどコミュニケーションの支援を行っています。

日常生活上の相談支援


医療型障害児入所施設のスタッフが、入所している児童や家族からの相談にいつでも対応しています。

医学的管理下での食事・排せつ・入浴等の介護


本人の病状に合わせながら、日常生活動作の介護を行います。

自立に向けての支援


医療型障害児入所施設では、入所している子どもが18歳(20歳のこともある)を迎えた際に
他のサービスへ移行する支援を行います。

地域社会との連携


入所している子どもが、地域社会との関わりがもてるよう、ボランティアの受け入れや地域行事などを行ったり、他機関と連携をとるなどしています。

入所した児童の保護


入所した児童が、安全で安心な生活を送ることができる環境づくりを行っています。

医療型障害児入所施設での1日の過ごし方は?


医療型障害児入所施設の1日の簡単な流れをご紹介します。
起床後、排泄や更衣、モーニングケアを行います。
朝食をとり検温健康観を行った後、それぞれ支援学校などへ送迎で登校します。
学校から送迎で下校すると、リハビリテーション、療育活動などを受けます。
その後余暇支援や自由時間のあと、入浴(または清拭)、整容を行い夕食をとります。
そして余暇活動や、排泄ナイトケア、就寝介助を受けて消灯となります。

医療型障害児入所施設型障害児入所施設の役割


福祉型障害児入所施設の役割としては、

①家庭としての役割
入所児にとって医療型障害児入所施設が第2の家庭となるよう、育ちの支援や愛着関係形成の支援を行います。

②病状安定の役割
入所児の疾病の治療や看護を行い、病状が安定してすごせるように支援しています。

③発達の支援
入所児それぞれの発達が進むことができるよう支援を行います。

④進路支援
入所児が将来社会参加できるように、進路の支援を行います。

以上の4点があげられます。

18歳を迎える入所児への対応


障害のある子どもは18歳になると、適応される法令が児童福祉法から障害者総合支援法へとかわり、医療型障害児入所施設を退所することとなります。
しかし、18歳を迎えるからといって急に退所させるといった状況は避けなければなりません。
障害児にとって、生活環境が変わることは、身体的にも精神的にも大きな負担がかかるからです。
そのため、医療型障害児入所施設では、次の2つの対応がとられています。

①自立を目指した支援
入所児童が施設を退所した後、地域生活へ移行できるよう自立に向けた支援を行います。
②施設の移行
医療型障害児入所施設が18歳以上対応の障害者向け施設を併設し、移行できるようにするなどしています。

また、医療型障害児入所施設では重度の疾病を抱えている子どもが多く、他機関との連携サポートも重要視しています。

医療型障害児入所施設の利用対象者の条件


医療型障害児入所施設を利用できるのは、
①身体障害・知的障害・精神障害(発達障害)のある18歳未満の児童
②①に該当する児童で、児童相談所、市町村保険センター・医師などから「療育」を受ける必要があると認められた児童
です。
医療型障害児入所施設サービスでは、身体障害手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳を取得していない場合でも主治医が必要と認定するなどすれば利用できます。

こんな方におすすめ!医療型障害児入所施設のメリット


医療型障害児入所施設に入所した場合、様々なメリットがあります。

①必要なケアを受けることができる


医療型障害児入所施設では、入所児童の疾病の治療看護を行いながら、食事、排泄、入浴など本人の基本的生活習慣の自立を目指すとともに必要なケアをおこなっています。

②様々な行事があり、楽しむことができる


医療型障害児入所施設では、施設によってさまざまな行事があります。
グループごとに行う外出、運動会、祭り、七夕やクリスマスなど季節を感じられる行事の他、地域の人との交流会などを行っている施設もあります。
行事に楽しく参加することで他者との関わり方を学び、地域での生活を送ることができます。

③いつでも相談にのってくれる


医療型障害児入所施設では入所児童の悩みや、家族からの相談いいつでも対応してくれるため安心した生活をおくることができます。

医療型障害児入所施設で気になること


実際に医療型障害児入所施設を利用する上で、気になる点を解説します。

必要な費用は?


医療型障害児入所施設は、障害児入所給費の対象となります。
受給者証を取得し、医療型障害児入所施設を利用すると、利用料の9割が国や自治体から給付されるため、1割を利用者が負担します。
医療型障害児入所施設を利用した日数分を支払いますが、前年度の所得によって一か月に保護者が負担する上限は設定されているため、その金額以上の負担はありません。
ひと月の利用者の負担は、低所得者は無料~一定以上の所得がある場合は37200円までと設定されています。
また、医療費については全額公費負担となるため、利用者負担はありません。
医療型障害児入所施設では、その他に実費として食費や光熱費などがかかります。

医療型障害児入所施設の利用期間は?


医療型障害児入所施設を利用できるのは、満18歳までです。
利用期間に制限はありません。乳幼児から高校卒業まで入所することができます。

事業を行っているのはどんなところ?


福祉型障害児入所施設を行う事業所は、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。

どんなスタッフがいる?


医療型障害児入所施設には、医療法に規定する病院として必要な職員(医師、看護師、臨床検査技師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士など)・児童指導員・保育士・児童発達支援管理責任者などがいます。
それぞれ事業規模によって配置人数が設定されています。

医療型障害児入所施設では、様々な専門職が勤務しています。
医療型障害児入所施設では基本的に乳児期から高校卒業までの児童が入所することから、児童の成長や発達、地域での生活を支えるため多職種が連携したチームサポートを行っています。

施設の設備内容は?


医療型障害児入所施設では、児童の居室、調理室、医務室及び静養室、浴室、便所の他に、訓練室、医療法上の病院として必要な設備を備える必要があります。
また、自閉症児が入所する指定医療型障害児入所施設では静養室が必要です。

医療型障害児入所施設はどうやって利用したらいい?


医療型障害児入所施設を利用したい場合の手続きについてご紹介します。
医療型障害児入所施設に入所希望の場合は「入所受給者証」が必要です。
「入所受給者証」の申請は、「通所受給証」申請と異なり、児童センターや児童相談所で行うこととなっています。

①相談
入所を希望する児童が住む市区町村にある児童センターや児童相談所に、医療型障害児入所施設入所をしたいことを相談します。
医療型障害児入所施設の一覧やパンフレット、インターネット検索などで希望の福祉型障害児入所施設を探しましょう。


②医療型障害児入所施設に相談
入所したい医療型障害児入所施設が決まったら、施設に相談し見学や体験などを行います

③児童相談所に利用申請、調査を受ける
児童相談所に医療型障害児入所施設入所する申請を行い、入所を希望する児童の障害の種類・程度の調査を受けます。

④「入所受給者証」の交付・障害児支援利用計画の作成
支給が決定されると、医療型障害児入所施設の入所の場合は、「入所受給者証」が交付され、障害児支援利用計画を作成します。

⑤医療型障害児入所施設との契約
希望する医療型障害児入所施設に「入所受給者証」を掲示して、入所の申し込みをし契約を結びます。

⑥サービス利用開始
医療型障害児入所施設でのサービス利用が開始されます。

医療型障害児入所施設を選ぶポイント


医療型障害児入所施設を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色、どんな職員がいるか、訓練内容にはどのようなものがあるかなどを確認するとよいでしょう。
実際の雰囲気を知っておくのはとても大切ですので、見学や体験入所などが可能であるか事業所に問い合わせてみましょう。
医療型障害児入所施設は、疾病の治療や看護を受けながら長期間子どもがすごす生活の場です。安全性や本人にとってすごしやすい環境であるかを考えて選ぶことをおすすめします。
また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、実際すごしている子どもたちの様子はどうかなど、実際に事業所の見学や訪問を通して感じることも大切です。
さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、子どもが治療を受けながら安心した生活を送ることができる医療型障害児入所施設を選んでいただければ幸いです。