地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)とは?利用条件と費用等気になることを解説

障がい者施設のキホン 地域相談支援

地域相談支援とは、「地域移行支援」と「地域定着支援」の2種類の支援があり、指定を受けた一般の相談支援事業所が提供するサービスのことです。
この記事では、地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)の法律での定義、利用条件、費用など、気になる事について詳しく解説します。地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を利用したいと思っている方は、参考にしてみてくださいね。

地域相談支援とは


地域相談支援とは、指定相談支援事業所が行うサービスのことで、障がいがある方が地域生活への移行・継続を支えるために行われます。
指定相談支援事業所では、地域移行支援、地域定着支援という2種類の地域相談支援を行っています。

地域相談支援は2種類


地域相談支援には、①地域移行支援②地域定着支援の2種類があります。
地域移行支援、地域定着支援では対象者やサービス内容が異なっていますので、それぞれ説明していきます。


①地域移行支援


地域移行支援の法律定義


地域移行支援は、障害者総合福祉法で「施設や精神科病棟などに入所・入院している障害者の地域生活への移行に向け、必要な相談や福祉サービス事業所への同行支援などを行う」と定義されています。
地域移行支援とは、「施設に入所中の障害者などが地域生活へ移行できるように必要な支援を行う」サービスのことです。

地域移行支援の対象者


地域移行支援の対象者は、
①障害者支援施設、※のぞみの園、児童福祉施設または療養介護を行う病院に入院中の方
②精神病院に入院している精神障害者(原則直近1年以上の入院)
③救護施設または厚生施設に入所している障害者
④刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)、少年院に収容されている障害者
⑤更生保護に入所している障害者または、自立更生促進センター、就業支援センターもしくは自立準備ホームに宿泊している障害者
です。

※のぞみの園とは
のぞみの園とは、更生労働省管の独立行政法人で、正式名称は、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」といいます。
のぞみの園では、重度知的障害者の自立を目的として総合的な支援を行っており、地域移行支援の対象となっています。

地域移行支援の対象となるのは、障害者総合支援法で「障害者」と認定されたすべての方となっています。

地域移行支援ではどんなサービスが行われる?


地域移行支援は、障害を持ち、施設や精神科病院などに入所中の方が、退所や退院後地域での生活を行えるように支援するサービスです。
地位移行支援では、利用者が退院退所後に地域での生活を送ることができるよう、次のようにサービスを行っていきます。

①地域移行計画作成会議を行い、地域移行計画の作成
利用者が具体的にどのように地域移行支援サービスを利用したらよいかの会議を開き計画を立てます。

②訪問相談
利用者の入院入所先に訪問し、本人とスタッフから退院に向けた今後の話をします。

③同行支援
退所退院後の生活の場や日中活動を行う際に、必要となるサービスの市役所などでの手続きに同行しサポートします。

④関係機関との連絡調整
医療機関や、障害福祉サービス、地域などとの連絡調整を行います。

⑤体験利用・体験宿泊
地域生活開始に向けて、利用することとなる障害福祉サービスなどの体験利用や、アパートやグループホームたどの体験宿泊を行うサポートをします。


こんな方におすすめ!地域移行支援のメリット


障害のある方が、退所退院後に地域での生活を送るには、住居探し、手続き、関係機関との連家計が必要となります。
どのように手続きを行っていけばいいのか、どのサービスを利用したらいいのか不安に思う障害者の方や家族の方には、地域移行支援サービスを利用することがおすすめです。
地域移行支援では、退所退院後の地域での生活に向けて、様々な手続きなどのサポートや支援を行っていきます。
地域移行支援では、利用者や家族の気持ちに寄り添いながら支援を行うため、退所退院後の生活に不安がある場合は、ぜひ利用することがおすすめです。

地域移行支援の利用期間


地域移行支援の利用期間は、原則1年間となっています。
期間内でのサービス利用回数制限はありません。


地域移行支援の利用料金


利用者は料金を無料で利用できます。
地域移行支援でサービス計画作成でかかった費用などは、事業所側に対して地域移行支援給付金が支払われます。
ただし、サービス利用に伴う、食事代や外出時の交通費などは自己負担です。

援助の主体は地域移行支援事業所


地域移行支援の援助の主体となっているのは、地域移行支援事業所とよばれるところです。
地域移行支援サービスの利用を希望する方の話を聞き、必要な地域移行支援計画を立て、入院入所中の施設や病院と連携をとりながら地域での生活を送ることができるよう支援します。

②地域定着支援


地域定着支援の法律定義


地域定着支援は、障害者総合福祉法で「居宅で単身で生活する障がい者などと常時連絡が取れる体制を確保するとともに、緊急時の相談などを行う」と定義されています。
地域定着支援とは、居宅で単身生活をしたり、家族と同居しているが家族による支援が難しい障害者に対して緊急時の相談対応を行うサービスのことです。

地域定着支援の対象者


地域定着支援の対象者は、
①精神疾患などの障害がある方
②1人暮らしのため緊急時の支援が見込めない状況にある方
③家族と同居しているが、家族等が障害、疾病などのため、家族からの緊急時の支援が見込めない状況にある方 
④安心した地域生活を継続するために、緊急支援が必要となる方
⑤施設退所後や、精神病院などを退院後、地域社会で緊急時の対応が必要となる方
などです。
共同生活援助や、宿泊型自立訓練の入居者は、地域定着支援サービスの対象外です。
地域定着支援の対象となるのは、障害者総合支援法で「障害者」と認定されたすべての方となっています。

地域定着支援のサービス内容


地域定着支援は、居宅で生活しているものの単身であったり、家族と同居していても家族からの援助が難しいなど、緊急時の支援が見込めない状況にある障害者を支援するサービスです。

援助の主体は地域定着支援事業所


地域定着支援の援助の主体となっているのは、地域定着支援事業所とよばれるところです。
地域定着支援では、対象となる障害を持つ方が自分では退所することができない、何かしらの緊急時が起こったときにすぐにサポートします。
地域定着支援は、緊急時の支援が得られない状況にある障害者の方にとって、安心して地域での生活を送ることができるサービスです。

地域定着支援ではどんなサービスが行われる?


地域定着支援では、1人暮らしをしている障害のある方や、家族からの支援が難しい方を対象に、対象者の緊急時即座にサポートできるサービスを行っています。
緊急時には、夜間の連絡や、対象者の家族にも連絡が取れるような体制も作られ、また緊急時の自宅訪問、医療機関との連携なども行っています。
地域定着支援サービスを受けることで、1人暮らしをしている障害のある方や、家族からの支援が難しい方がいつでも「誰かが見守ってくれる」という安心感を得られ、地域社会での生活を継続しやすくなるのです。

こんな方におすすめ!地域定着支援のメリット


地域で一人暮らしや、同居していても家族からの支援が見込まれない障害者の方は、普段での生活に不安や孤独感を感じやすいことが多くあります。
体調の急変や、日ごろの生活で困りごとが起こったときにサポートがない状態だと、再入院となったり地域での生活継続が困難となる場合があります。
地域定着支援サービスを利用することで、本人が「いつでも誰かが見守ってくれる」という安心感を持つことができ、精神的にも安定した地域生活を続けることができます。

地域定着支援の利用期間


地域定着支援の利用期間は、原則1年間となっています。
1年を超えてもサービスの継続をしたい場合は、再度申請を行う必要があります。

地域定着支援の利用料金


利用者は地域移行支援と同じく、料金を無料で利用できます。
地域定着支援でサービス計画作成でかかった費用などは、事業所側に対して地域相談支援給付金が支払われます。

地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)で気になること


実際に地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を利用する上で、気になる点を解説します。

事業を行っているのはどんなところ?


地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を行う事業所は、社会福祉法人、合同会社、NPO法人、株式会社など法人格をもつ必要があります。

どんなスタッフがいる?


地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)には、管理者、従業員(相談支援専門員)がいます。

地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)はどうやって利用したらいい?


地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を利用したい場合、地域移行支援、地域定着支援それぞれの手続き方法をお伝えします。


①相談
地域移行支援を受けたい方の場合は、まず主治医に相談しましょう。

②申請
最寄りの保健福祉センターで、地域移行支援を利用するための申請を行います。
保健福祉センターの窓口で、利用希望の申請書を提出します。

③訪問
センターの職員が後日、本人の入所・入院している施設・病院を訪問し、本人の障害の状況・現在受けているサービスや制度の確認を行います。

④指定相談支援事業者による利用計画案作成
保健福祉センターが、指定相談支援事業所へ、地域定着支援の利用計画案作成を要請します。

⑤受給者証送付
指定相談支援事業所が、利用計画案の概要を本人と保健福祉センターに送り、それが適切とされるとサービス支給決定が認められます。
自宅に受給者証が届けられ、サービスを提供する事業所と契約し利用開始となります。


地域定着支援の利用手続き



①相談
地域定着支援を受けたい方の場合は、主治医がいる場合はまず主治医に相談しましょう。
主治医がいる場合は、主治医や医療スタッフが、申請のサポートを行ってくれる場合があります。

②申請
最寄りの保健福祉センターで、地域定着支援を利用するための申請を行います。
センターの職員から、本人の状況や現在利用中の福祉サービスなどの確認が行われます。

③指定相談支援事業者による利用計画案作成
保健福祉センターが、指定相談支援事業所へ、地域定着支援の利用計画案作成を要請します。

④受給者証送付
指定相談支援事業所が、利用計画案の概要を本人と保健福祉センターに送り、それが適切とされるとサービス支給決定が認められます。
自宅に受給者証が届けられ、サービスを提供する事業所と契約し利用開始となります。

地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を選ぶポイント


地域相談支援事業所では、住まい、福祉サービス、障がいや病気の理解、障害者の権利擁護など様々な相談に対応しています。
スタッフが、実際に障害のある方が現在何に困っているのか、具体的な問題解決方法を一緒に考えてくれます。
地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を選ぶ際は、その事業所の設備や理念、特色、どんな職員がいるか、どのような支援を行っているかを確認するとよいでしょう。
また事業所の雰囲気やスタッフの関係はどうなのか、どのような方が利用されているのかなど、実際に事業所の見学や訪問を通して感じることも大切です。
さらに、事業所にある他の社会福祉サービスに何があるかも確認しておくとよいでしょう。
福祉サービスが充実している事業所であれば、他に困ったことがあった場合でも適したサービスを紹介してくれます。

今回ご紹介した情報を参考に、障害をもった方が地域での生活を送るためのサポートをしてくれる、地域相談支援(地域移行支援/地域定着支援)を選んでいただければ幸いです。