就労継続支援とは?対象者からA型とB型の違いまで詳しく解説

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障がい者手帳を持っている家族がいて、仕事をしたいという希望が本人にはあるけれど、どのようにサポートしていけばよいのか悩んでいるという人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい就労継続支援について詳しく解説します。

就労継続支援とは?


就労継続支援とは、障害者総合支援法第5条14項において定められた就労系障害福祉サービスのうちの1つで、A型とB型の2種類があります。
A型とB型ではサービスの概要と対象者に違いがあるため、表にまとめてみました。
就労継続支援の種類サービスの概要対象者
就労継続支援A型
  • 雇用契約に基づく就労が可能な人に対して通所訓練により知識や能力を身に着けてもらい就労への移行を支援する
  • 利用定員10人以上
  • 利用期間の制限なし
  • 就労移行支援を利用して就労に結び付かなかった人
  • 特別支援学校を卒業して就職活動をしたものの就労に結び付かなかった人
  • 就労経験があり現在は就労していない人(2018年4月より65才以上の人も要件を満たせば利用可能)
就労継続支援B型
  • 雇用契約に基づく就労が困難な人に対して通所訓練により知識や能力を身に着けてもらい就労への移行を支援する
  • 利用期間の制限なし
  • 就労経験はあるが年齢や体力の面で一般企業で働くのが困難な人
  • 50才以上の人または障害基礎年金1級受給者
  • 上記2つの要件を満たさない人で、就労移行事業者などにより就労するための課題が把握できている人

就労継続支援A型では雇用契約に基づく就労が可能な人を対象とし、就労継続支援B型では雇用契約に基づく就労が困難な人を対象としているのが大きな違いだと言えるでしょう。
参考:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
参考:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」

就労継続支援A型の利用現状


2021年に厚生労働省が発表した「障害者の就労支援について」という資料では、就労継続支援A型の利用現状を示す次のデータが公表されました。
利用終了後に
就職した人
の割合
利用者数の
推移(2015
年度~2019
年度)
利用者のう
ち身体障が
い者が占め
る割合(2015
年度~2019
年度)
利用者のう
ち知的障が
い者が占め
る割合(2015
年度~2019
年度)
利用者のう
ち精神障が
い者が占め
る割合(2015
年度~2019
年度)
就労継続支援A型25.1%57,527人→72,197人20.8%→16.8%35.0%→34.5%43.5%→47.8%

このデータから就労継続支援A型を利用することにより、約1/4の人が一般企業への就職を果たしているのがわかります。
また近年精神障がい者の利用が増加傾向にあるのも特徴的だと言えるでしょう。
2020年6月現在の民間企業における障がい者雇用による雇用者数は57.8万人で、17年連続で過去最高を更新し、2018年より制定された法定雇用率2.2%に対し実雇用率2.15%とわずかに及ばないものの、就労継続支援A型がこの数値に大きく貢献しているのは間違いありません。

就労継続支援B型の利用現状


「障害者の就労支援について」では、就労継続支援B型の利用現状を示すデータも公表されています。
利用終了後に就職
した人の割合
平均工賃月額
(2006年度~2019年度)
利用者数の推移
(2015年度~2019年度)
就労継続支援B型13.2%12,222円→16,369円209,621人→269,339人

就労継続支援B型では、もともと一般企業での就労が困難な人を対象としているにもかかわらず、訓練や支援を経て就職できた人が13%もいるのが特徴的だと言えます。
また平均工賃月額が13年間で4,000円程度上昇しているのも注目されますが、事業者には今後も工賃を上げる努力が望まれるでしょう。
参考:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課「障害者の就労支援について」

就労継続支援の今後


就労継続支援の今後については、厚生労働省における「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」に障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチームが設置され、次のような方向性が検討されています。
  • 就労能力評価の仕組み創設や就労支援プランの共有化を検討する
  • 就労支援人材を育成・確保する
  • 通勤や職場における支援を充実させる
  • 障がい者雇用における業務創出やテレワーク化を促進する
  • 多様な働き方への対応を検討する
  • 障がい者雇用率・納付金制度における就労継続支援A型事業所の取り扱いを検討する
  • ・就労系障害福祉サービスの内容を見直す

  • また2022年8月17日に株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンクが発表した有望市場予測レポートによると、2021年度に800億円だった障害者就労支援サービスの市場規模は、2027年度には980億円に拡大すると予想されています。
    少子高齢化が進む日本では、働き手としての障がい者に対し、ますます期待が高まっていると言えるでしょう。
    参考:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」
    参考:株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク「MDB有望市場予測レポート『障害者就労支援サービス』を公開」

    まとめ


    就労継続支援とは、障害者総合支援法において定められた就労系障害福祉サービスのうちの1つで、就労可能な人を対象とするA型と就労困難な人を対象とするB型の2種類がありますが、利用終了後に就職する人が増加しているため、障がい者の実雇用率アップに大きく貢献しているのがうかがえます。
    この記事も参考にして、好きな仕事で働く道を障がい者本人が見つけられるようサポートしてみてください。