自立支援医療制度とは?対象者から負担上限額まで詳しく解説

トピックス 自立支援医療制度

障がいを持つ家族が通院しているので医療費がかかるけれど、自己負担額が大きくて生活が厳しいと困っている人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、自立支援医療制度について詳しく解説します。

自立支援医療制度とは?


自立支援医療制度とは、医療費の自己負担額を軽減するための公費負担医療制度で、心身の障がいを軽減・除去するための医療提供を目的としています。
具体的には治療を受ける患者の負担が大きくならないよう、所得に応じて1か月あたりの負担上限額を設定し、高額な費用のかかる治療を長期にわたって続けなければならない場合や、障がい児のいる家族に対してさらに軽減措置を実施するものです。

自立支援医療制度の支給対象者


自立支援医療制度の支給対象者について表にまとめてみました。

支援対象者対象となる障がいや疾患対象となる治療
精神通院治療病状性を含む器質性精神障がい(F0)
精神作用物質使用による精神および行動の障がい(F1)
統合失調症、統合失調症型障がいおよび妄想性障がい(F2)
気分障がい(F3)
てんかん(G40)
神経症性障がい、ストレス関連障がいおよび身体表現性障がい(F4)
生理的障がいおよび身体的要因に関連した行動症候群(F5)
成人の人格および行動の障がい(F6)
精神遅滞(F7)
心理的発達の障がい(F8)
小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障がい(F9)
精神通院治療視覚障がい
  • 白内障→水晶体摘出手術
  • 網膜剥離→網膜剥離手術
  • 瞳孔閉鎖→虹彩切除術
  • 角膜混濁→角膜移植術
聴覚障がい
  • 鼓膜穿孔→穿孔閉鎖術
  • 外耳性難聴→形成術
言語障がい
  • 外傷性または手術後に生じる発音構語障がい→形成術
  • 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障がいを伴い鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な人→歯科矯正
肢体不自由
  • 関節拘縮、関節硬直→形成術、人工関節置換術等
内部障がい<心臓>
  • 先天性疾患→弁口、心室心房中隔に対する手術
  • 後天性心疾患→ペースメーカー埋込み手術

<腎臓>
腎臓機能障がい→人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
<肝臓>
肝臓機能障がい→肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
<小腸>
小腸機能障がい→中心静脈栄養法
<免疫>
HIVによる免疫機能障がい→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療
精神通院治療視覚障がい
  • 白内障
  • 先天性緑内障
聴覚障がい先天性耳奇形→形成術
言語障がい
  • 口蓋裂等→形成術
  • 唇顎口蓋裂に起因した音声・言語機能障がいを伴い鼻咽腔閉鎖機能不全に対する手術以外に歯科矯正が必要な人→歯科矯正
肢体不自由
  • 先天性股関節脱臼、脊椎側彎症、くる病(骨軟化症)等に対する関節形成術、関節置換術、および義肢装着のための切断端形成術など
内部障がい<心臓>
  • 先天性疾患→弁口、心室心房中隔に対する手術
  • 後天性心疾患→ペースメーカー埋込み手術

<腎臓>
腎臓機能障がい→人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)
<肝臓>
肝臓機能障がい→肝臓移植術(抗免疫療法を含む)
<小腸>
小腸機能障がい→中心静脈栄養法
<免疫>
HIVによる免疫機能障がい→抗HIV療法、免疫調節療法、その他HIV感染症に対する治療
<その他の先天性内臓障害>
先天性食道閉鎖症、先天性腸閉鎖症、鎖肛、巨大結腸症、尿道下裂、停留精巣(睾丸)など→尿道形成、人工肛門の造設などの外科手術

家族に障がい者がいる場合、自立支援医療制度の対象者となっているかどうかをひとまず確認することから始めてみましょう。

自立支援医療制度を利用した場合の負担上限額


自立支援医療制度を利用した場合、負担上限額はどのくらいになるのでしょうか。
表にまとめてみました。
所得区分更生医療・精神通院治療育成医療重度かつ継続
一定所得以上(市町村民税23万5千円以上)対象外対象外2万円
中間所得2(市町村民税3万3千円以上~23万5千円未満)総医療費の1割または高額医療費(医療保険)の自己負担限度額1万円1万円
中間所得1(市町村民税3万3千円未満)総医療費の1割または高額医療費(医療保険)の自己負担限度額5千円5千円
低所得2(市町村民税非課税で低所得1を除く)5千円5千円5千円
低所得1(市町村民税非課税で本人または障がい児の保護者の年収が80万円以下)2千5百円2千5百円2千5百円
生活保護(生活保護世帯)0円0円0円

表の中の「重度かつ継続」は疾病・症状などから対象となる人、疾病などに関わらず高度な費用負担が継続することから対象となる人の2種類がいますが、詳細な要件については厚生労働省のホームページから確認をしてみてください。
参考:厚生労働省「自立支援医療」

まとめ


自立支援医療制度とは、医療費の自己負担額を軽減するための公費負担医療制度で、心身の障がいを軽減・除去するための医療提供を目的としているため、医療費の支払いが厳しいと感じているならまずは対象者であるかどうかの確認をしてみましょう。
上限金額は支払っている市町村民税の金額によって6つの区分に分かれていて、対象者であれば最大でも上限が2万円となるので、医療費の支払いに困ったら自立支援医療制度の利用を検討してみてください。